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妄執 3-5

「おやおや。どうやら君のペニスは解放されたがっているようだね」  露骨な言葉を使われ、孝司は耳を塞ぎたくなった。仁科はナイフをしまい、孝司自身に手を伸ばす。 「触るなっ!」 「……まだそんな口がきけるのかい。いい子だからおとなしくしていなさい」  仁科は孝司のものを扱き始めた。孝司はもともと性に淡泊で、昔付き合っていた彼女に手淫を要求したことがない。つまり他人の手で自らを扱きあげられるのは、仁科が初めてだった。  身を捩り、声を出さないように努めるが、仁科の手つきは巧みで、抑えきれない嬌声がこぼれる。 「ひぃ……あ、っう……ああっ!」  孝司は顎をのけぞらせる。  絶頂の時が近づくと同時に、仁科は愛撫の手を止め、孝司の根元をきつく握った。 「ひゃん!」 「楽になりたいかい、長瀬くん?」  仁科は蠱惑的に笑った。耳元で囁かれ、そのまま耳の中を舌でなぶられる。  孝司は言われるがままに頷いた。 「じゃあ、私にこう言うんだ。イかせてください、先生。とね。簡単なことだろう?」  快感に溺れ、夢と現実との間を彷徨う孝司には、仁科の言葉の意味まで届かなかった。 「イかせてください……先生」 「いい子だ」  仁科は満足げに頷き、再び孝司の性器を扱き始めた。 「いやっ……ぁ、ああ!」  やがて孝司は仁科の手の中で達した。孝司の放った精液は孝司自身の身体だけではなく、仁科の顔にまで飛び散った。  仁科は孝司に見せつけるようにして、顔にかかった白液を手に取り、指の先までしゃぶりつくした。 「はぁ……はぁ……っ」  静まり返った空間に、孝司の荒く息を吐く音が響く。 「上出来だよ、長瀬くん」  仁科が孝司の髪を撫で、唇を重ね合わせる。 「ふっ……あ、んん」  甘い口づけは恋人同士のそれに似ていた。  孝司は頭の片隅で今日の授業はこれで終わりだと高をくくっていた。  しかしそれが間違いであったと、すぐに知ることになる。仁科の指が孝司の後腔に伸び、窄まりに触れたのだ。 「……っ、何?」  孝司は思わず声を上げた。 「続きをしよう、長瀬くん。苦しいかもしれないけど、君なら耐えられるはずだ」  仁科が孝司の両脚を割り、間に身体を挟みこむ。 「待って! 続きって――」 「わかりきっていることだろう? 私とひとつになるんだ。ここでね」

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