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妄執 3-7
「口を開けて」
「……嫌だ」
「殴られたいかい?」
脅しの効果は絶大だ。
孝司がおずおずと口を開くと、仁科は人差し指と中指を差しこみ、口腔内をなぶるように動かした。
「ちゃんと濡らさないと、つらいのは君の方だよ」
この状況で何がと訊けるはずもなく、孝司は仕方なしに仁科の指を舐めた。
仁科の指で喉の奥を穿たれ、吐き気がこみ上げたが、そんなことをしたら何をされるかわからない。孝司は仁科の指を綺麗に舐め上げることに集中した。
「上出来だ、長瀬くん。さあ、足を開くんだ。私にすべてを見せなさい」
孝司が言われたように開くと、仁科は濡らした指を窄まりにあてがい、襞を広げるように伸ばしてから、人差し指を挿入した。
「っ!」
「長瀬くん、リラックスして。まだ指先を入れただけだよ」
仁科は話しながら指を奥へ奥へと押しこんでいき、何かを探るように指先を動かした。
腹の中で異物が蠢く気持ち悪さと、絶え間ない圧迫感に呼吸さえままならない。やがて仁科の指がある一点を捉えた。
「ああっ!」
「ああ、ここか。君の良い所は。意外と奥にあるんだね。私の指が長かったことに感謝しなさい」
「いや、だ……っ、ああ、んっ!」
仁科の指が幾度となく孝司の前立腺を刺激する。未開発の砂漠に雨水が注ぎこむようだ。
今まで経験したことのない感覚に、一度は萎えたはずの孝司の性器は、みるみるうちに勢いを取り戻し始めた。
「気持ちがいいだろう。もう一度イっておくかい?」
仁科は孝司を刺激しながら指の本数を増やし、自らのものが挿入できる大きさまで拡張を続ける。
「ぅあ……っつあ、ああ!」
孝司は再び果てた。
「もうイってしまったのかい? 堪え甲斐がないな。指だけで達することができるとは……しかも君は初めてだろう。長瀬くん、君は素晴らしい才能の持ち主だ」
快楽に溺れた孝司は、仁科の言葉を聞く余裕はなかった。それでも自分が仁科の指だけで果ててしまったことに屈辱を感じた。
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