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妄執 3-8
「はぁ……あ、もう、やめて……」
孝司の哀願は仁科の耳に届かない。
仁科はベルトを弛めてファスナーを下ろし、自らの性器を取り出す。
それから孝司が放った精液を手に取り、ぬちゃぬちゃと音を立てて仁科自身に塗りたくった。すでに猛っていたそれは、すぐに孝司を犯す凶器になった。
「たっぷり出したね。今日の課題はこれで最後にしよう。私とひとつになるんだ」
仁科は孝司の片脚を肩に担ぎ、勃起した先端を後腔に埋めた。
「痛っ……!」
「大丈夫だよ、長瀬くん……」
凶悪なもので孝司を貫きながら、仁科はしきりに大丈夫と繰り返し囁いた。やがてすべてが孝司の中に収まり、互いの身体が密に接した。
「んぅ……っは、あぁ……あっ」
「動くよ」
孝司は苦しそうに息を吐くが、仁科はお構いなしに腰を突き上げ始める。仁科は執拗なまでに孝司の前立腺を重点的に攻めた。
「いっ、ああっ、あ……っんん!」
こんなこと望んでいない。
仁科に触れられるだけでも気持ち悪いのに、孝司の中で快楽が嫌悪感を上回っていた。
「気持ちがいいかい?」
「……気持ち、い……いや、嫌だっつ、あああ、あ、嫌……っ」
快楽に溺れる自分を認めたくなくて、孝司は悪態をついた。
嫌だ、嫌だと繰り返す孝司を、仁科は愛情のこもった目で見つめている。どうしてそんなに優しい目を向けられるんだ。チタンフレームの奥の目を見たくなくて孝司は固く両目を閉じた。
しかし孝司の若い肉体は与えられる肉欲に忠実に反応する。
三度目の絶頂はすぐそこだった。
「そろそろ限界かい?」
仁科は孝司の髪を撫でながら訊く。孝司は頷いた。
「じゃあ一緒にイこう」
仁科は孝司自身を握り、優しく、だが性急に扱き始めた。
「ひいっ……ん、あっ……ああんっ」
孝司の嬌声に反応した仁科の性器が、邪悪に胎内を圧迫し始める。
わずかに残った孝司の理性が仁科の行動を咎めようとした。
「中っ……中は嫌だっ!」
「生で出したりしないさ……今はね」
中に入れられた仁科のものが張りつめているとわかる。孝司を穿つスピードが速まるにつれて、孝司自身を扱く仁科の手のスピードも加速していく。
「嫌だっ、あ……っ、ああ、ああああっ!」
「……っ」
仁科が低く唸り、孝司の胎内に勢いよく精を叩きつける。ゴム越しとはいえ、犯された。しかし孝司もまた、仁科の手の中に射精した。
「ひ……いっ、あ…………」
「……良かったよ、長瀬くん」
仁科の顔が大写しになり、唇をついばまれる。
銀の糸が紡がれた先に見えた男の顔は、これまで出会った誰よりも喜びに満ち溢れていた。
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