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純愛 4-1
「ん……はあ……あっ」
目隠しをされた真っ暗な世界で長瀬孝司はベッドに腰かけ、自慰をしていた。
自ら脚を開き、目の前の人物に見せつけるように、ゆっくりと時間をかけて自らのものを高めていく。
衣服を与えられない孝司の身体は、孝司自身が勃ち上がっていくと同時に、ほのかに色づき始めた。
「あっ……は、はあ……っん」
元来性欲が薄い孝司の自慰は、技術がないことが一目でわかるほどつたないものであった。
だがこの半月で依然とは比べ物にならないほど、孝司は性に溺れていた。
「……や、ぁん……サ、サトシ……っ」
自身を扱く孝司の手のスピードが上がる。
孝司の好きなところをあの人の手つきを真似て、丹念に刺激した。
自分を見てくれている人を想うと、自然に頬が赤らむ。
呼吸の間隔が短くなり、張りつめていた性器は、やがて解放の時を迎えた。
「ああ……っ!」
孝司の手のひらに勢いよく精液が放たれる。最後の一滴まで絞り出して、自らその白濁を飲み干す。指先まで纏わりついたものまで、すべてを舐め取って終了。ここまでが一連のパフォーマンスなのだ。
観客はたったひとり。目の前の椅子に座り、背もたれに身体を預け優雅に脚を組む男。
孝司を監禁した張本人、仁科智であった。
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