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純愛 11-1

 鍵が開く音がし、扉が開かれた。 「サトシっ!」  孝司はベッドから起き上がり、扉へと目を向ける。しかし予想に反して、入ってきたのは片山だった。  孝司は肩を落とし、再びベッドに潜りこむ。片山に苦笑され、少しだけ苛ついたが、片山が持ってきた紙袋を孝司に見せた。 「ついさっき仁科から連絡があってね。これを渡してくれと頼まれたんだ。受け取ってくれるかい?」 「何ですか、それ」  片山から袋を受け取った孝司は中身を見る。 「……服?」 「仁科からのプレゼントさ」 「サトシが?」  紙袋の中には新品のシャツやズボン、下着にいたるまで一式揃えられていた。サイズも測ったようにぴったりだった。 「さっそく着てみるかい?」 「はい!」  仁科から何かを贈られるのは初めてだ。嬉しくなった孝司は、すぐさま新品のシャツを身に着けようとしたが、片山に止められた。 「先にシャワーを浴びた方がいい。そのほうが仁科も喜ぶだろう」 「そうですね。でも……」 「大丈夫。仁科は許してくれるさ」  片山が足枷の鍵を見せながら続ける。 「外してもいいかい?」  孝司は小さく頷いた。

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