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純愛 13-1
片山はなるべく音をたてないように注意して、孝司が待っている監禁部屋に入った。
自分と孝司の荷物をすべて車に運びこんだ片山は、ベッドで眠る孝司を見下ろした。飲み物に混ぜた睡眠薬が効いているのだろう。この様子だと多少動かしたところで起きないだろう。
片山は孝司の枕元に腰を下ろし、黒く短くなった髪を、そっと撫でた。
少し前までは柔らかかった髪も、監禁生活のストレスで、すっかり痛んでしまった。身体中の痣や傷痕も、すべて仁科によってつけられたものだ。
だが今の孝司はそんな仁科に依存し、精神的にとても脆くなっている。今のまま放置しておいたら、確実に本来の姿を取り戻すことはできないだろう。
今しか孝司を救い出す機会は無いのだ。
おそらく仁科はすぐに帰らない。何せ、あの啓一と会うのだから。
いっそのこと、このまま戻らずに啓一と仲良く過ごせば良いとさえ思う。そうすれば孝司を悩ます者はいなくなり、あの子は幸せになれる。そして自分は不安定な孝司をずっと支えてやればいい。
片山は身体を屈め、孝司の耳元に囁いた。
「一緒に逃げよう、孝司……。お前は俺が護ってやる」
片山は孝司の足首を戒める枷に手をかけた。
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