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幕間2 仁科

 ――あいつは俺とは違う。  私が彼と出会った時から、運命の歯車は動き始めた。  人生で初めて出逢った友と呼べる存在のおかげで、私はつまらないはずの学生時代を楽しむことができた。  学ぶ分野は違えど私たちは構内で会えば自然と話す間柄になった。  共に教師を目指しながら、私たちは次第にお互いのことを話すようになっていた。  ある日、彼は自分の家族について語り始めた。  両親が離婚して片親だということ。  父に逆らえないということ。  そして、年の離れた弟と上手くいってないということ。  下を向いて話すその姿に、自信家である彼の面影はどこにもなかった。  私は幸い家族に恵まれていた。  彼の苦しみをすべて理解することはできない。しかし、その重荷を分かち合うことならできるのではないか。  私が彼を支えてやりたい。  それは、今までの人生で抱いたことのない不思議な感情だった。  私が彼に特別な想いを抱き始めたのは、この頃からである。

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