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狂想 4-3

 赤黒く染まった顔面から覗く、不気味な色を宿した目が怖くて、孝司は動けなくなる。  その隙に片山は自身のネクタイを抜き取り、孝司の身体を俯せにして両手を背後で縛り上げる。  驚いた孝司が声を上げようとするが、それよりも先に片山の手に覆われてしまう。  片山は手近にあった、何日も洗っていないであろうタオルを手に取り、孝司にきつく噛ませ、猿ぐつわをした。 「孝司……俺のことを〝先生〟って呼んでみるか?」 「うぅ……っ」 「仁科のことは先生って呼んでいたよなあ……ああ、でも。あれは一時的なものか……本当は嫌だっただろう? あいつのことなんて好きでもなんでもないんだろう?」  孝司は首を左右に振り、片山の言葉を否定する。  だが片山は孝司の想いなど聞く耳を持たず、しまいには鼻歌を響かせながら、いやらしいほどゆっくりと孝司の衣服を剥ぎ取っていく。  鋏などは使わず、力任せに衣服を破られ、引きつるような痛みが素肌を走った。 「綺麗な肌だ」  片山のかさついた手のひらが孝司の薄い胸板をなでる。 「お前を早く俺のものにしたい」  片山は孝司の乳首をべろりと舐めあげる。  舌が皮膚をなでるたびに、孝司の身体は恐怖にすくみ、冷や汗が噴き出す。片山は暴れる孝司の膝上に陣取り、胸から腹、そして陰部へと徐々にその範囲を広げていく。  孝司は背中で縛られた両腕を何とか引き抜こうと、必死にもがいたが、その行為は自らの手首を傷つけるだけである。  口に咬まされたタオルはすえた臭いがし不快感が食道を刺激する。だが吐こうにも口は塞がれていて吐しゃ物で窒息しかねないし、そもそも物を吐くだけの食料を摂取しておらず、吐いたところで胃液しか出ないだろう。 「お前のここは可愛い形をしているな」 「んぅ……っ」 「赤く熟れてやがる。早く舐めてほしかったんだろう?」 「んんっ、ん――っ、んぅ……っ」 「そんなに喜ぶなよ」  片山の舌が性器にまとわりつく。  敏感な部分をねっとりと嬲られ、孝司はおぞましさに身体を左右に揺さぶる。だが片山は孝司が抵抗を示すと、ふにゃふにゃと脆弱な性器に歯を立ててきた。 「ううぅ……っ!」 「俺を受け入れろ」 「んぅ、っ……っ、ぅ……」 「動くなよ。少しでも動いたら、そうだなあ、お前の可愛いちんこを噛み切ってやる。俺にとっては必要のないものだからな。俺に必要なのは、お前のここ――」  仁科とは違う、片山の武骨な指が孝司の秘部を探る。 「――ここは俺だけの孔だ。俺とお前が繋がるための、大事な孔だ」 「う……っ、うう……」  片山から漂う粘着質な性欲に吐き気が止まらない。  ――気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。  孝司は両目から涙を流す。もう体裁など構っていられない。泣き落としをしてでも、この男から逃げ出したかった。

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