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狂想 4-4
「その涙は何だ? 俺が嫌いになったのか?」
「んんっ、うぅ……っ、うっ」
「助けを求めたのはお前のほうだろう? どうして今さら俺から逃げようとするんだ」
「う……っ、う」
「まあいい。お前は二度と手放さない」
いくら愛撫しても反応を示さない性器から興味をなくした片山は、孝司の後腔に狙いを定める。菊門を指がつうーっと撫でた途端、孝司はパニックに陥った。
「んうっ……!」
「動くなって言っただろうがっ」
刹那、左頬に重たい衝撃が走る。猿ぐつわを噛まされていなかったら奥歯が折れていたことだろう。それほど片山の拳は重かったのだ。
仁科にも出会ったばかりのころ、何度か殴られたが、彼の比ではない。ぐわんぐわんと揺れる脳内で、孝司は漠然とそう思った。
無反応の孝司を見て片山は正気に戻り、吊り上げていた眉をハの字に下げ、自らの失態を詫びる。
「ああ……孝司、ごめん……孝司の可愛い顔に傷をつけてしまって……泣かないでくれ、お前を傷つけるつもりはないんだ。怪我はないかい? 口の中を切ってはいないかい? ああ、大丈夫なようだね。でもこれは、お前が俺を受け入れなかったからだ。悪いのはお前だ、孝司。俺にこんなことをさせるお前が悪いんだ」
片山の主張は一貫性を持たず、その時々で白くも黒くもなる。
この男には何も言っても届かない――孝司は改めてそう思う。
どうして片山の本性に気づくことができなかったのか。
片山はいつから嘘を吐いていたのだろうか。そもそも片山はどういう心づもりで孝司との接触を計ってきたのだろうか。
少なくとも仁科は――サトシは気づいていたのであろう。
だから片山に嫉妬し、彼を近づけないようにしたのではないか。仁科と片山の関係を必要以上に聞かされていない孝司には、それよりも深い考察はできない。
「孝司……?」
片山の猫なで声が孝司の思考を遮断する。
「わかるか……お前が、全部悪いんだ」
そんなこと、わかるはずもなかった。
片山は改めて孝司の秘孔に手を伸ばす。孝司は嫌がったが、少しでも抵抗を示すたびに殴られ、噛まれ、気力と体力を奪われていく。
孝司が動けなくなると、片山は自らの巨悪な性器を取り出し、傷ついた孝司をオカズに自慰を始める。
体格に見合った巨大なものはみるみるうちに昂っていき、天を衝く鈴口からは我慢汁がにじみ出ていた。
孝司は目をみはる。あんな凶悪なものでこれから犯されようとしているのか。そんなものを突き刺されたら裂けてしまう。恐ろしさのあまり、涙が止まらなかった。
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