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室内にあるコンセントタップを全て外し、机に並べた。 その中の怪しい一つに目星をつけて分解すると、中から盗聴器らしきものが出てきた。 「このコンセントタップに“A”ってシール貼ってあるでしょ?これ盗聴器のチャンネル周波数なんだ。これを仕掛けた犯人がわからないで、貼り付けたままにしたんだろうね」 「稀瑠空は何か、心当たりでもあるのか?」 「柊が学校に来た日……生徒会室から出て来た生徒がいたんだ。本人は『間違えて入った』って言ってたけどね。でも、どうしても気になって……絢斗とざっと調べてみて、盗まれた物はないし、特におかしいところは見つからなかった。それでもまだ、何か引っかかって……後で調べようって、思ってたのに……」 「調べた後ちょうど、はるさんと柚希ちゃんが来たしなァ。ヤンキー達の動きが激しかったし、生徒会総会の準備で、それどころじゃなかったじゃん。仕方ねーよォ、稀瑠空のせいじゃ、ねぇだろ」 唇を噛み締め悔しがる俺の頭を、「気にすんなっ」って、ポンポンと励ますように、絢斗は撫でた。 「取り込み中、失礼」 生徒会室のドアをノックして、慌ただしく近衛が入って来た。近衛は学校に用事があったから、試合会場の警備にはまだ向かってなかった。 「稀瑠空様、先程スタジアムを警備してる、親衛隊から連絡が入りました。次々と不良達に絡まれたり、妨害されたりしてしまって……とても警備が出来るような、状態ではないという事です。陽人殿の親衛隊を動かしますか?」 「それは……今日はハル先輩の、最後の試合だよ……そんな日に、頼めるわけないよ……」 「…こちらの情報が、漏洩してるのか……?もし、侵入者がパソコンのデータを盗んでたとしたら、親衛隊の面も割れてる筈だ……」 「盗聴だけじゃなくて、データまで……もしかして、今までの柊側の一連の動きは、俺達の目を眩ませる為の演出だった……とか?」 「その裏で、俺達の詮索や動向を探ってたのかもな……もっと、用心すれば良かった……陽人とよく生徒会室で、色々な作戦や対策を立ててたんだ。その中で、決勝戦だけは狙われたくないって、話もな……今思えば、その会話も盗聴されてたのかもしれない……」 「はるはるが動けない決勝戦を狙って、その上ひろむやともきを拉致するなんてさぁ……酷い奴だよねぇ、柊って奴は……本当、許せない」 「ちょっと、いいっすかァ?画像見てもらっても」 普段とは違う涼しげな顔をした絢斗が、パソコンのディスプレイを指差した。 みんなの視線が、一斉にそこへ集まる。

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