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「何か、気付いたのか?」
「ただの、俺の勘っすけどォ……大夢を監禁してるのは、少人数かなってェ。拘束してるし、目隠しをして、本人にわからなくしてる感じがするしィ。画像の背景見てると、造りが学校っぽいっす。移動時間とか考えても、尚更そーかなってェ」
絢斗に言われて、背景を拡大してみたけど、確かに学校みたいだ。
「どこかの教室みたいだな……」
「友さんの方だけど、こっちは人数多そうっすねェ。ガタイのいい友さんを拉致って、ボコボコにリンチ出来るくらいね……この場所、どこかの廃墟っぽいし、人目がない分、ここが一番危険じゃないかって思うんすよォ」
「友紀……俺がそこへ、向かう」
「征爾さんは、司令塔しょっ?あなたが動けないと、みんな困るから。友さんの所は、俺が行きますよォ。キックボクシングやってるし、糞ヤンキーの連中なんかに、負けねぇ自信あるっす」
「すまない……絢斗」
ーー絢斗にもしもの事があったら……嫌だ……耐えられない……
「俺も絢斗と行く!」
「稀瑠空はダメェ」
「なんで?嫌だ!」
「稀瑠空はみんなの憧れる“芸能人”なんだからさァ……綺麗な顔に傷付ける事したら、ダメだって。自分を守る事も、スターとしての自己管理の内っしょ。……だから、近衛と一緒に、大夢の救出してきて……なっ、いい子だから、言う事きいてよォ」
ーーそんな顔して……ズルいよ……
大人びた端正なマスクで、俺を惑わすみたいに目を細め、低くて艶のある甘い声で宥める。
絢斗は普段チャラついていてどうしようもないのに、肝心な時は真面目で冷静で格好いい。
俺が熱くなって目先が見えなくなると、いつだって上手に鎮めてくる。
余裕で大人な態度をされると、たった一つでも年上なんだって改めて思う。
イメージを守り、徹してる俺は『芸能人としての稀瑠空』の事を言われると、何も言えなくなる。
俺の弱点を知ってて、危険な所へ行かせない為に、わざと言ってるっていうのが伝わってくる。
「…………わかった」
「俺と成都はスタジアムで柚希を探す。恐らく、ここが一番不良共の数が多いかもしれないな……もしかしたら……柊が来るかもしれない……柚希が拐われる前に、必ず見つけ出す」
「僕、ゆずゆずの事、あいつらより先に見つけてぇ、絶対に守る!」
「とにかく、全員無理してケガするなよ。何かあったらすぐに連絡する事。じゃあ、絢斗、稀瑠空、近衛……友紀と大夢を頼んだ。成都、俺達はバス停へ急ぐぞ」
「全速力で走ってくよぉ」
「りょーかいっすゥ」
「わかった。近衛、頼んだよ」
「大夢殿を必ず救出し、あなたの事を全力で守ります」
近衛の心強い言葉に、更に士気が上がる。
画像を改めて見つめると、ヒロ先輩が可哀想なくらいに怯えてて……
早く助けないとって、焦燥感に駆られる。
こんな酷い事する奴らを、絶対に許さないっていう憤りで、目の前が赤く染まった。
大切な仲間を救う為、俺達は分散して敵が待つ、それぞれの場所へと走って向かった。
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