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65 ~柚希 side~

足が竦んで逃げ出すのにもたついていると、あっという間に強い力で腕を捕まれ、中に引きずり込まれる。 腕を振り払おうと力を込めても、ガッチリと捕んだ柊の手は微動だにしない。 そのまま個室の奥まで引き摺るように連れて行かれ、後ろから抱き竦められた。 「……離せ…よ……」 「せっかく従順になったのに、また生意気になったな……そんなに、陽人が良かったのかよ」 抵抗し暴れたものの、柊の口から陽人の名前が出てきて動けなくなる。 「陽人は……ただの友達だし……何の関係も、ねぇよ……」 「ただの友達とセックスするのかよ?ただの友達同士が愛してるとか言わねぇだろ……」 「違う……そんなの、柊の勘違いだから……」 動揺を隠しながら、柊の言葉を否定した。 陽人を守る為にも俺達が恋人である事を、柊に知られる訳にはいかなかった。 ポケットからスマホを取り出すと、柊はスマホを操作し始めて音声を流し出した。 その声は俺と陽人で…… 俺達が恋人として結ばれた、生徒会室での情交の様子だった。 「生徒会室に盗聴器が、仕掛けてあるんだよ。嘘吐いたってわかるから」 全て柊に筒抜けだった事に、目の前が真っ暗になる。 「あの時は、陽人とまだ付き合っててなかったんだろ?あいつ、必死だったな……お前の事守ろうとして、怪我までしてさ」 ーーあの時……怪我?……俺を……守ろうとした……? 「何の……事だよ……?」 「俺と柚希が初めて抱き合った日、イキまくってるお前の姿、あいつは見てたんだぜ。まぁ、おまえは薬でトリップしてたし、陽人が来ててもわからなくなってたけどな」 「うそ……だ……」 ーーレイプされてるの……陽人に……見られてた…… 「それ見てぶちギレた陽人が俺を襲撃して、怪我したわけ。骨、折れちまったんだな。最後の試合なのに……柚希のせいで出られなくて……可哀想だな、あいつ」 ーーおれ…の……せい……俺が……陽人の……邪魔してる…… 「おまえ、周りにキラキラした仲間とか、急に出来て勘違いしてるみたいだけど……おまえの居場所、そこじゃねぇから。おまえは俺みたいに、陽のあたらない日陰側の人間だよ」 ーーおれの……居場所……みんなとは……違う…… 「だから、おまえは俺と一緒にいるのが、一番お似合いなんだよ」 柊の言葉を聞き終える頃には、両目から止めどなく涙が溢れ、頬をしとどに濡らしていた。 わかっていた。 みんなのいる場所に、俺がいるのは本当は間違いなんじゃないのかって、心の何処かでわかっていた。 太陽みたいに明るくて真っ直ぐな陽人の側に、俺みたいなのがいちゃいけないって、わかっていた。 それでも…… その居場所があまりに眩くて、優しくて、居心地がよくて…… 愛しくて、尊くて、幸福に溢れてて…… どうしても、 どうしても、 陽人の側から、離れたくなかった。

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