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白い天井に白い壁、毛足の長い白いラグマット。
窓にはモノトーンの遮光カーテン、ゴールドのアイアンベッドに、黒いシルクの質の良い寝具……
俺とは趣味の合わない、インテリアばかり。
ぜんぜん落ち着かない。
身体はあちこち傷だらけだ。
ズキズキと痛いのに、瘡蓋になった傷口がむず痒くて仕方がなかった。
腰や股関節もまだダルさが残り、筋肉痛で少し痛い。
プルルルルル……
着信音が鳴り、慌ててイヤホンのボタンを押す。
『出るの遅かったんだけど』
「ごめん……ウトウトしてたから……」
『寝てて良いよ』
「でも、通話中だし……」
『柚希の寝息、聞いてるから』
柊と電話が繋がったままなんて、神経が休まらず、常に気を張りっぱなしだ。
とても、眠ることなんて出来ない。
ーー逆らえない……逆らったらまた、酷い目にあわされる……
「おやすみ……」
『おやすみ、柚希』
目を瞑って、言われた通りに寝息を立てる。
『柚希の寝息、可愛いな……』
うっとりとした、柊の囁く声が聞こえる。
心臓がバクバクし、変な汗が出てくる。
寝ている時でさえ監視されているという現実に、あまりの緊張で過呼吸を起こしてしまいそうになる。
『柚希、オナニーしてるの?』
呼吸が荒くなったのを、柊は勘違いしてしまった。
「ち、違う……」
『いいよ、隠さなくても。身体が治るまでは、本当は休ませたいけど』
否定して、機嫌を損ねたくない。
「してる……」
『どこ触ってるの?』
「あそこ……」
『どこ?ちゃんと、言って』
「…………チンコ」
『ヤバい……ずっと柚希とシてないから、興奮してきた。ちょっと待って』
本当はオナニーなんてしていない。
そもそも、柊にレイプされたせいで、出来なくなってしまった。
身体がボロボロだから治るまでは、と。
陽人の決勝戦で無理矢理暴かれて以来、柊は一切手を出してこなかった。
でも、酷い目にあわせ、こんな身体にしたのは、柊本人だ。
『車、人気のない林の奥に停めたから。……いいよ……続けて……』
少しすると、柊の吐息混じりの艶のある声が聞こえてきた。
「チンコ……扱いてる……」
『俺も触ってるよ、柚希……』
イヤホンから、熱い息遣いとクチュクチュと水音が聞こえ、熱っぽい声で愛しそうに何度も俺の名前を呼んでいる。
ーー何でだよ……
柊の厭らしい声に、身体が疼き反応して中心が硬くなる。
柊とはレイプまがいなセックスしか、した事がない。
ただ、悔しい事に……
柊と俺の身体の相性は、すごく良かった。
自分でもこんな事気付きたくなかったけど、抱かれる度になんとなくわかった。
無理矢理なのに優しくて……
勘のいい柊は、俺の気持ち悦い所を的確に狙っては攻め、狂いそうなほど何度もイかされた。
柊の荒い息遣いで、思い出したくもない快楽を思い出す。
ーーずっと……出来なかったのに……
自慰が出来ない原因を作ったのは、柊なのに……
その柊の痴態に、身体は昂っていた。
恐る恐る、盛り上がる股間に触れてみる。
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