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12月24日クリスマス
「大事なナオヤさんに会う前に、ややこしいおっさん等に捕まってる場合じゃないだろ」
白い息とともに、癖のある笑い声を響かせている大介の姿を、直弥は流し見た。
付き合い始めてから、制服の大介と外で会うことは滅多になくて。
家に来ると違和感なかったけれど、夜の繁華街に爽やかな制服姿の大介は、確かに違和感がある。
「てかさ! なんで今日なんだよ!」
口調とともに、直弥の腕を掴む力が強まった。
「なんで、クリスマスに忘年会っていうのがあんだよ! 誰が決めんだよ? 会社の偉い人か?」
「いや、偉い人じゃ……」
歩幅を進める大介に引きずられるように歩きながら、直弥は答えようとしたけれど、言葉途中で口をつぐんだ。
――幹事は
(遥平だ)
忘年会幹事の遥平が決めた。今日という日を。
連絡の社内メールが来たときは、日にちをみて正直ぎょっとした。
クリスマスだけど、祝日明けの平日で。
年内業務に追われていたら、そんな行事も希薄になる。去年までの直弥もそうだった気がする。
年齢層が高いこの会社、そんな日に皆気にも留めていないみたいで、話は進んだ。
遥平自身は、社内で付き合っているアイちゃんと一緒だから何の支障もない。
公認の仲だから一緒に忘年会後、二人でデートに行けるし、何なら残業なんてするより都合がいいんだろう。
だけど、それだけじゃない。メンバー全員あてに送った忘年会案内の後、直弥だけに宛てられたメールが来た。
【絶対参加するよな】
【社会人なんだからな。行事なんだからな】
勿論、返事は書かなかった。
けれど、先に釘をさされ、理由をつけてずる休みなんて事は出来なくなった。
勘違いはないだろう。十中八九、直弥へのあてつけの日程。
口には出さないけれど、高校生と付き合って浮かれてんじゃねえ、とあざ笑われているようだった。
「偉い人じゃないのか?」
「いや、うん……俺もよく知らない」
もう一度、言葉を飲んだ。
決めたのは遥平だなんて、大介には言えない。
今日、席は遥平とアイちゃんとは一番遠い席を陣取った。
そんな小さい事にいちいち気を揉んで、計画して行動しなければいけないのも神経をすり減らした。空気が薄くて息が詰まった。
遥平はそんな様子の直弥を見て、真面目に出席し佇んでいる姿を確認して、安心しているようだった。
一瞬目が合って、平然と会釈してきて。
直弥は思い出し、息を吐く。
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