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2月14日土曜日

「ナオヤさん、来てくれて有り難う。本当に」  あらん限りの力で大介は直弥を抱き締めた。けれど、もう体温はお互い感じなかった。  「なあ、これ以上外居たら、アンタ凍死する。駐車場行って、車ん中入るか? ていうか今日どうする? 俺、離れたくないけど、流石に一緒には帰れない……」 「いや外に居たのは、中に入る勇気がなかったから……実は、向かってる途中でホテルの部屋は取ったんだけど……もし大介が出てきてくれなかったり、迷惑だったらもうここで帰ろうと思って」  言いにくそうに、お伺い立てる様に直弥は弱弱しく呟いた。   「ハア?! 部屋取ってんのかよ?! そしたらこんな所でいないで早く……ていうか! 俺の事、何だと思ってんだよ! ナオヤさん拒否るなんて、万に一つもねーよ! 今後二度とそんな馬鹿なもしも話はやめてくれ!」  大介は怒りながら、色が無く寒さで少し震えている直弥の唇にキスをする。 「早く行こう、早く!」  暗闇の中大介は手を引いたが、凍えと雪に足を取られ上手く歩けない直弥を、抱き上げホテルへと向かった。  抱きかかえたまま、ホテルに入る勢いの大介だったが 「あ!! チェックインしててくれ!」  玄関前で直弥をおろし、大介は元居た場所に走り出した。  心配と安心の胸中で、残された直弥はチェックインした。  大きな荷物もない、スーツ姿に顔色も悪いサラリーマン。当日予約で夜遅い来客のスキー場に場違いすぎる恰好を見て、フロントに白目をむかれた。   直弥は苦笑を浮かべながら、大介に部屋番号をメールした。

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