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2月19日木曜日

 直弥はおぼろげに思いながら、リビングに入った瞬間倒れこんだ。  身体はゾクゾクとして寒気がするのに、冷たい床が心地よい。  フローリングに額と身を預ける。 (大介にバレたら、心配させてしまうんだろうな……)  悲痛な顔を想像する。  大介は底なしに優しい。  優しさは嬉しいけれど、過度な心配を受けるのも申し訳ない気持ちで一杯になる (優しさに、慣れてないせいもあるんだろう)  直弥は熱に浮かされながら、少し笑った。   今まで優しくされたことなんて、ほとんどなかった恋愛経験だった。 「大介に連絡しなきゃ……」  寝転がったまま、ポケットをまさぐる。  今日も残業だとか理由をかこつけて来ないでいいとメールを送らなけ 「ーーッス!!」  漸く携帯を握った時、玄関が開く音と共に元気な声が聞こえてきた。 「あぁ、遅かった……」

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