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2月20日金曜日

「ごめん……」  見舞いに来た本人が、病人みたいに元気なくしょぼくれている。 「謝らなくていい。ダイスケは悪くないよ」  昨日より幾分出るようになった声で、ベッドサイドに正座している大介を直弥は慰めた。  リビングで直弥の手から滑り落ちていた携帯と、投げ出されていた鞄。  大介の荷物と携帯もリビングに置いていたから片づけている間に入れ替わっていて。  世話してくれてバタバタしていたし、予期せぬ看病に気も動転してただろう。  直弥は結局今日起き上がれず休んでしまった。朝はどっちにしろ会社に連絡してから寝ていたし。  昼から大介は家に駆けつけてくれて、無事にお互い手に戻った。その後やり取り出来たから仕事の電話も支障はなかった。嗄れた声で出ると、相手も皆理解してくれた。 「だけどこれから、俺も気をつけなきゃな」  大介が家に来たら充電器も一緒に使ってるし、見た目がそっくりだから見分けつかない。  ……にしても朝は驚き、一気に目が覚めた。直弥は思い出し笑いをする。  笑いながら大介を見遣ると、また俯いて神妙な顔をしたままだ。 「どうした? ダイスケ?」 「……」 「昨日は本当に有り難う。ダイスケが居てくれて本当によかった。助かったよ」  直弥は大介の様子が気になり怠重い腕を伸ばし、大介の頭を撫でる。  頭から頬に触れた時、大介は漸く顔を上げた。 「……ナオヤさん、あのさ、」 「なんだい?」  「まだ、電話かかってくるのか?」 「ん?」 「まだ、連絡取ってんのか」 「俺、誰と?」 「ヨーヘイと……」

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