168 / 255

4月28日火曜日

「あれ? 俺、兄貴居る事、言ってなかったっけ?」 「いや、そ、それもそうだけど」 (それも初耳で猛烈に気になる、けど!)  聞きたい事が大渋滞だ。直弥が何より驚き引っかかったこと。 「ダイスケ、お前、甘いもの……苦手?!」 「あ、あぁ」  直弥の裏返った声を聞き、大介はハッと気まずそうな表情をした。 「だって、一緒に……」  食べた。食べていた。あの時も、この時も。  直弥が良かれと二人分買ったデザートやお菓子、一緒に食べていた。  嘘誕生日の時も、クリスマス会から忘年会に転じた外食の時も。  そして、今日も。  今日に至っては、大介がわざわざ買ってきてくれた。この穴ボコだらけになってしまった、ケーキを自ら…… 「何で、言わなかったんだよ! 今まで! 俺、一緒に食べてくれてたから、甘いもの好きだとばっかり……」  直弥は唇を噛んだ。  ずっと、無理して食べていたんだろうか? 差し出す自分の為に、言い出せず。 「ごめん……」 「なんでナオヤさんが、謝んだよ。違う違う!」  大介は掌をぶんぶんと振る。 「苦手って言っても、別にアレルギーとかじゃないし、ただ今まであんま食ってこなかったから、食えないっていうか。 だから、食えるし! 買って来てくれて一緒に食べられた。嘘じゃない」  大介は長い指で、噛んで赤くなった直弥の唇を撫でる。 「アンタが隣で、一緒に美味しそうに食べてくれるから、全部美味かった」 「ダイスケ……」 「な、これ食べよ」 「あ、そーだ! あれしよう!」

ともだちにシェアしよう!