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4月29日火曜日
昨夜、一緒に寝た。
寝たけれど、何もせず。
10歳差になったのかと、寝る前に気付き、大介の誕生日が来るのを胸の奥で切に望んだ。
寝る前抱き締めてくれたのは、少年から大人へと、日に日に精悍で凛々しく眩しい大介で。
優しくて大事にしてくれて自分には勿体無い、見合わない恋人に、気持ちが周回遅れしたまま、先に寝た。
1つ歳を取ったのに、誰より大介との行為を強欲に心の奥底で望んでいる自分がいやに浅ましく感じて……
大介が握ってくれた手の体温に幸せを感じながら、先に寝た。
こんな自分に側にいて、一緒に寝てくれるだけで幸せだと思った。
だけど、押し込めた浅ましい欲望が、夢になって出来てしまっていた。
無意識な間まで、本心は隠し切れはしなかった。
「特別な日だからこそ、ナオヤさんがしたくないのに無理矢理とか、俺出来ねーし」
恐る恐る仰ぎ見た大介に、笑顔は無い。
「直弥さん、その気無いのかと思って俺も寝た。けど……」
下唇を親指で押され、直弥の口は条件反射でうっすら開いた。
「言ってくれ。これから正直に。俺、ナオヤさんの嫌がる事絶対したくねーから。
だから、ナオヤさんが嫌じゃない時、したい時、言って」
大介の切ない表情を見ていると、直弥の視界が滲んできた。
変化を帯びた直弥の下半身に当てられた、大介も勃ち上がっている事実を感じ、直弥は不覚にも安心する。
更に一つ年上になった直弥にも、大介は変わらず欲情してくれている。
”こんな冴えない俺の何処が良いのか? ”
毎日考えるし、聞いてみたい。けれど、聞く勇気がない。
聞いた途端、大介が我に返りそうで。
好きでいてくれるなら、勘違いでも魔法でも何でもかかったままで居てくれて良い。
出来ればずっと、勘違いから醒めないで欲しいから、聞けない。
「……したい。俺、今、ダイスケと、したい」
直弥は大介を引き寄せ、声を振り絞って囁いた。
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