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8月30日日曜日 2年目

 シャワーから出ると、大介がバスタオルを持って待ちかまえていた。  直弥は大介と大きなタオルに包まれる。 「ダイスケ、お腹空いただろ。昼ごはん食べるかい?」 「あ、あぁ」  直弥は起こった出来事にはまるで触れずに、今日の流れ、本能のまま大介に問い掛けた。  時計を見ると昼はとっくに回っていて。  身体を動かしたから、空腹襲われている。 (大介が、やっと口きいてくれた……)  シャワーの爽快感と心地よさに心が解れ、直弥と大介にも柔らかい空気が流れた。  ピンポーーン  大介の表情が、一気に険しくなる。  電子音一つで、せっかく和らいだ空気は、一瞬にして凍てついてしまった。  タオルを腰に巻き、直弥がインターホンに赴くと、大介も後に付いてきた。 「ダイスケ、宅急便だ」 「……」 「宅急便」 「そう……」  髪も半乾きのまま、慌ててTシャツを着て、直弥は玄関に行った。  バスタオルまきつけたままだとか、どうでも良い。  とりあえず、半身を出して、サインをして受け取って……  宅急便とのやり取りを早急に済ませ、振り返ると、身を切られる様な表情の大介が、リビングから顔を出し、玄関に居る直弥を見つめていた。 「ダイスケ!」  直弥はたまらなくなり荷物を放り投げ、大介に駆け寄った。  大介は驚いて硬直しているけれど、今度は直弥が大介を押し倒した。  直弥の腰に巻かれていたタオルは解けた。  驚いて眼を見開いている大介にキスをして、抱き付く。 (大介、アイツは来ないよ……)  昨日から数え切れない程、口にしそうになった言葉を、直弥は大介にキスをしながら心で唱えた。

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