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8月30日日曜日 2年目

 遥平の事も今日8月30日の事も、大介は一言で言い切れる。  遥平は大介にとって……驚異で  8月30日、今日は……恐怖だった。  直弥の事を決して信じていない訳じゃない。誰より信じている。  これは、そんな次元じゃない感情だ。  ”嫌いで別れた訳じゃない”と付き合う前に何度も聞いた。  去年の今日、直弥はあんなに泣いていた。  別れて今は自分と付き合っていてくれている。  相手=遥平と、もし一生会わない間柄ならば、ここまで思いはしない。 (二人は今も、同じ会社で毎日会っている)  悪友達と休み時間や部活で、ばか騒ぎしたりふざけ合ったりしている時は忘れてる。  普段考えないようにしているけれど、時々授業中や一人の時、たまに魔が差す。  ”今、二人は、一緒の所で働いている” ふとその事が頭をよぎると大声を出しそうになる。  生まれてこの方、人に対して持った事が無かった感情に大介自身戸惑い、持て余している。  勿論表に出した事は無いけれど、そんな思いが365日少しずつ積もり積もってとうとう、アイツの誕生日が来てしまった。  アイツは、直弥さんを捨てた。結婚するとも軽く言っていた。  だけど、サシで話して直感した。  まだ直弥さんに対して、気持ちが残っている。最低野郎だ。  でも……正直、勝てる気がしない。今でも。一生。  今日、毎年来ていた様に、あの玄関が開いたら、大人の力で直弥さんを連れ去ってしまうんだろうか? (……そうなったら、俺にはどうする事も出来ない)  ただ、出来る事は、一日中ただひたすら直弥さんの傍から離れず、扉が開く前に止める事しかない。  と、思っていたのに。 (直弥さんが煙草吸いたくなる様な、無茶苦茶な事ばっかりした……)  大介はしゃがみこんだまま動けないでいると、視界に直弥の足下が見えた。

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