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9月20日日曜日 大介 2年目

――道に一歩出れば、もうそこは現実の世界で。  二人とも口には出さなかったけれど、離れ難く。  何をするでもないのに、暫く校門を出られずに、手前で二人立ち尽くした。 (もし見られて困る人に見つかったら……早く、帰らなきゃ)  頭では分かっているのに。  結局、大介のタイムリミットまで、校庭の端に二人で居た。  いい加減もう時間が来て「じゃあ」と別れを告げた時 「何? 二人で写真撮るの? 撮ってあげよか!」  時間を確かめる為におっさん携帯を取り出し、直弥の隣で眺めている大介を見て、通りすがりの一般客おばさんが、おせっかい全開で立ち入って来た。 「お願いします!」  否定しかけた直弥をよそに、満面の笑みで大介はおばさんに携帯を差し出した。  おせっかいおばさんが、女神に変わり、学校を背に二人の写真を撮ってくれた。  校内に居る間は場所を弁えて、家の中の様にスキンシップ一つ取ってこなかった大介だけれど、おばさんに写真のポーズを取った時、肩に手をかけ、緩く支えてくれて。  その体温に触れ、直弥はまた泣きそうになった。

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