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9月20日日曜日 大介 2年目
「ナオヤさん、写真とおんなじ顔してる」
大介は流れていない涙を拭う様に、直弥の頬を指でなぞった。
「俺、困らせるつもり無かった……ごめん。
見られた事も気にすると思ったから、言おうか迷ったけど、黙ってるのもあれだし。ナオヤさんが言いたくなかったら、一生誰にも言わなくて、良い。アンタが嫌がる事絶対しないから。
解ってるよ。俺みたいに単純じゃないもんな……色々あるって。俺も大人になったら、アンタの今の気持ち解るかもだし。ごめん」
「ダイスケ……お前だって、今の顔。おばさんに怒られるぞ、『男前が台無しだよ!』って。俺も、ゴメン。違うんだ……泣きそうになるのは、悲しいからじゃなくって、いや……うん、あの……」
今日何度も押し寄せたこの感情を、言葉では簡単に表せられない。
直弥は説明しかけて、自分の気持ちを伝える言葉が見当たらず歯噛みした。
「えっと……俺……あ。ダイスケを、本当に好きだからなんだ」
結局この一言だ。
この一言が全てだと思った瞬間、言葉になって直弥の口から零れ落ちてい
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