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はじまり-5

「矢嶋ー、家で飲むか?」 俺が色々教えている矢嶋湊。 素直だし覚えも早い。 で。 もう少しでプロジェクトも終わるから。 労いも兼ねて飯に誘った。 メニューみてるけど。 ……多分。 あまり焼き肉が好きじゃない。 「ここしゃぶしゃぶもあるぞ?」 仕方ないから裏メニューを教えた。 店主は驚いていた。 だって。 俺が裏メニュー頼むときは下心ある時だから。 まぁ、矢嶋可愛いしできないことはないだろうけど。 しゃぶしゃぶを堪能し家で飲み直した。 まさか。 覚えてないとは思わなかったが。 「矢嶋何飲む?」 「チューハイあります?」 「俺が嫌いな甘いのでいい?」 「ぼく甘いの好きなんで大丈夫です!」 「マジで?よかった」 もらったはいいが嫌いなのばかりだったからな。 「好きなだけ飲めよ!」 で。 お互いにちょっと酔いが入り色々話していくうちに妙なスイッチが俺に入ってしまった。 「ん、先輩?」 「名前で呼べよ?」 何故だか俺は矢嶋に名前で呼んで欲しかった。 「名前?」 「そ。知ってるだろう?」 「は、(はるか)さん?」 名前を呼ばれた時。 俺は嬉しく感じた。 「俺も湊って呼ぶから二人の時はそう呼べよ?」 俺たちはお互いに名前で呼ぶことにした。

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