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イライラ-8

「すいませーん。辻元さんいますか?」 「辻元先輩なら今外ですけど」 この間。 先輩が言ってた。 事務の女の子が尋ねてきてもいないで通してくれって。 「えぇー!?またぁ?」 またって言われても先輩いないし。 「あなたわざと?」 「いや、違いますって!」 睨まなくても。 女の子怖いなぁ。 「お前さん辻元がいないからって矢嶋に絡むなよ!」 「絡んでなんかっ!」 「人当たりのいい辻元がお気に入りのこいつに頼むとかお前めっちゃ嫌われてるんじゃないか?」 千石さん。 少しは空気を呼んで欲しいです。 「嫉妬深い女は醜いぞ?」 「っ!失礼します」 彼女たちは走り去っていった。 「…………おーい。もういいぞ?」 いつからいたのか。 先輩が現れた。 「先輩!隠れてたんですか?」 「辻元ーきちんと説明してやれよ?」 「矢嶋外に食いに行かね?」 「はい」 あれから先輩は会社の中では名字で外とか誰もいない時は名前で呼ぶようになっていた。 その理由は、千石さんの前でうっかり先輩が、ぼくを名前で呼んでからかわれちゃったから。 『なに?お前ら付き合ってんの?』みたいな感じで。

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