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イライラ-9
「好きなの頼めよ」
「はい。じゃあ海鮮丼」
ぼくたちがきたのは、駅前の定食屋。
さっきのことを説明してもらうために一緒に昼食を。
「……また?」
「またってだって好きなんですから」
ぼくは昔から海鮮丼が好き。
で、先輩と飯食う時も海鮮丼以外頼まないから。
またって言われた。
「男なら肉食えよ」
「肉食べると胃もたれが」
「……ぶはっ。お前はどこぞの女だよ!」
本当のことなのに笑い飛ばされた。
「先輩。事務の横山さん」
「あぁ。彼女とは前に飯誘われて行ったんだ」
先輩はモテるから。
優しいし面倒見もいいし。
「その時には彼女いなかったから。でも、横山さんが俺を気に入っているらしくて」
でも。
先輩を好きならあの行動は無意味じゃ?
逆に嫌われちゃうのに。
「千石さんから聞いたんだけどな。彼女気に入った相手はどんな手を使ってでも手に入れていたらしくて、で、あんな伝言を頼んだ」
「そうだったんですね」
「いくら可愛くてもそんな子はごめんだ」
「で、な」
「はい」
「千石さんからもう一つ言われたことがあってな」
何だろう?
「横山さんがお前を目の敵にしているって。事務課で話していたらしい」
「すまん」
そう言って頭を先輩が下げた。
「先輩のせいじゃないですから!」
「お前に伝言頼んだ俺のせいだ」
先輩は悔しそうな悲しそうな顔をしていた。
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