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湊の過去-4

あの試合のあと。 水嶋くんは色んな子と仲良くしていた。 しかも。 何故かぼくの前で。 まるで見せつけるかのように。 「はぁ、航汰の悪いクセが出た」 蓮川くんはそう呟いた。 ぼくには聞かれたくないから呟いたんだと思う。 それでも。 部活のない時はぼくと勉強という日々を送っていた。 「水嶋くんて友達多いね」 ある日何気に言ってしまった。 「そうか?」 「ぼくさ、人見知りだからあまり友達ができなくて」 「俺とは友達じゃん?」 今思えば水嶋くんには全て感づかれていたのかもしれない。 ぼくが水嶋くんを好きという気持ちやぼく以外と仲良くして欲しくないという独占欲的なこの感情を。 それから。 ぼくたちは2年生に無事進級した。

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