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湊の過去-8
それからしばらくして。
誰から聞いたかわからないけど。
ぼくが矢嶋製薬会社の息子であること。
それから。
ぼくが両親を殺したという噂が流れてしまった。
誰がなんのためにかわからないけど。
そして。
水嶋くんも離れていってしまった。
「矢嶋。次、移動教室だけど。行けそう?」
蓮川くんだけは変わらずぼくと一緒にいてくれた。
「次、移動教っう」
「無理しないで。保健室で休んで自習してなよ」
あれから。
僕は教室以外で行われる授業に出れなくなってしまった。
人が怖くて。
人からの#視線__め__#が怖くて。
「先生ー矢嶋よろしく」
「奥あけてるから」
先生はぼくのために一番奥のグラウンドの見えるベッドをあけてくれた。
学校が嫌いなんかじゃない。
みんなと一緒に勉強したい。
でも、怖くてできない。
『グラウンドの見えるベッドにくるか?』
そう言って先生は提案した。
そして。
ぼくたちがまた進級するというある日。
ぼくは卒業間近のサッカー部の先輩に何故か倉庫に呼び出された。
「先輩?」
「マジで来たぞ?」
先輩たちは何故か笑っていた。
「水嶋使えば来るってマジだったんだな?」
「水嶋は?」
「理由でちあげってペナルティ中だから」
「なら」
先輩たちは何を思ったかぼくをいきなり押し倒してきた。
「っ!?何をっ」
「何をってナニをするんだよ」
「大丈夫、優しくするから」
「声出されたら迷惑じゃん?」
ぼくは先輩たちに口を塞がれ手首を縛り付けられた。
気持ち悪い。
早く終わってほしかった。
「水嶋ともヤッてんだろう?」
「先からこんなに溢れるくらいだし」
先輩たちはぼくのを指先で弄っていた。
胸を舐められていた。
女の子じゃないのに。
声が出そうになる。
「矢嶋カチカチじゃん」
何を思ったか先輩は俺のを咥えてきた。
吸い上げられ、あっという間に果てた。
「何?イッちゃった?次は俺な」
先輩たち一人ずつにされ、ぼくはどうでもよくなっていた。
「そろそろこっちもいじってやるか?」
そこだけは嫌だった。
触ってほしくなかった。
「誰かいる……ってあなたたちは!矢嶋!?」
「ちっ逃げるぞ!」
入ってきたのは蓮川くんだった。
助かったと思った。
********
「う、ん……」
朝?
今何時かな?
「……(11時)」
あれ?
ぼく声が……。
どうしよう。
……水嶋くんには頼れない。
メール?
『矢嶋。今日は先生に休むって言ってるからゆっくり休んでなよ』
蓮川くんなら……。
ぼくは水嶋くんじゃなくて、蓮川くんを頼った。
『蓮川くん。学校終わったら家に来てくれないかな』
蓮川くんからはすぐ返事がきた。
『いいよ』って。
「矢嶋!大丈夫か?」
超えが出ないから代わりに頷く。
「……矢嶋?声が?」
『朝起きたら声が出なくなっていたんだ』
ぼくは正直に話した。
「矢嶋。先生には話しておくからしばらく休んでなよ」
それから。
一週間たつも、声は出なかった。
「矢嶋、大丈夫だから。気に病むな」
教室に行こうとすると過呼吸と吐き気で行けなくなっていた。
その後。
担任の先生と話し合った結果。
ぼくは今学期までで一年間休学することになった。
そして。
蓮川くんから水嶋くん話があるからって。
屋上に呼び出された。
「矢嶋」
『久しぶりだね!』
「先輩たちが悪かったな」
水嶋くんは湊から矢嶋へ呼び方が変わっていた。
これはそういうことだと思った。
だから。
何を言われても受け入れなきゃいけないそう思った。
『水嶋くんのせいじゃないよ?』
「矢嶋。これだけは言っておく」
そう言う水嶋くんが気のせいかもしれないけど。
ぼくには震えているように見えた。
「男が男好きとか気持ち悪いんだよっ。大学もお前なんかの力借りないで受かってみせる!わかったら俺に近づくなよ」
『男が男好きとか気持ち悪いんだよ』
ズキッ
わかっていた。
水嶋くんがぼくを好きって言ってくれたから受け入れてくれたと勘違いしていた。
息が苦しい。
呼吸ができない。
「じゃあな!」
ぼくは息苦しくて気を失っていた。
次、目を覚ますと……。
「湊!」
おばさんたちがいた。
「良かった!目をさましてくれて」
おばさんたちはぼくにゆっくり休むように言ってくれた。
そして。
退院して荷物を取りに学校へ行くと。
水嶋くんを見ただけで過呼吸を起こし倒れてしまうようになった。
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