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間違えないから-4

『はい、第二総合病院です』 「お久しぶりです。水嶋航汰です」 『なんだ。役立たずの水嶋くんじゃないか!』 耐えるんだ。 何を言われても。 矢嶋を助けるためなら。 「お願いがあります」 ナイフで刺されたこと。 そして、かなり出血していること。 ここには道具が揃っていないことを話した。 『まぁ、お前が処置するならいいけどな』 迷っている場合じゃない! 俺が矢嶋を助けるんだ。 矢嶋を前の職場の第二病院へと搬送した。 出血量が多くて輸血が必要だったけど。 なんとか一命をとりとめた。 よかった。 矢嶋が無事で……。 けれど。 何日かは生死をさまよっていた。 ようやく、矢嶋が目をさました。 「……」 「矢嶋、俺がわかる?」 矢嶋はそれに頷いただけだった。 この時は気づかなかった。 矢嶋が喋れなくなっていたことに。 それから。 検査するも特に異常はなかった。 「いいじゃないか。喋れなくてもさ、生きているんだから」 辻元さんさそう言った。 確かにそうだ。 また俺の手で命を失うんじゃないかって。 ホントは怖かった。 矢嶋が助かってよかった。

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