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第7話 海side

俺の元から去って行った月を見つけて、家に連れてきたのに。 月は俺の元からまた去って行った。 勘違いしたまま―― 事の発端は一週間前。 幼なじみの(とら)と飲みに行った日のこと。 ******* 「なぁ、聞いてくれよ…。」 勿論、話す内容は一つ。 「…また、月との惚気?俺、仕事あるんだけど――」 「惚気じゃないっ!真面目に…困ってるんだよぉ。」 そういいながら手元にある酒をグイッと飲む。 もう、何回おかわりしたかもわからないくらい飲んだし。 酔い潰れてる自覚はある。 「俺、月に好きっていっぱい言ってるのにさぁ。月、最近全く言ってくれない…。」 「あのなぁ、恋人がいない俺に言うことじゃねぇだろ。」 虎は苦笑いしながらそういう。 だって…月が虎以外に付き合ってること言うなって言うから…。 「いいのっ!そんなことよりさぁ、月は俺と無理して付き合ってないかな…。」 「それはないだろ。」 きっぱりとした虎の声に少し苛立つ。 そんなことなかったらもっと好きって言ってくれると思うのに…。 「あー、じゃあさ。別れようって切り出せば?」 「はっ!?嫌、嫌、嫌!」 足をバタバタさせて抵抗する。 嘘でも月を傷つけること言いたくない。 虎は俺の足を手で抑えて、笑いながら口を開いた。 「でも、その反応でわかるだろ?」 「んー。」 虎の発言に納得がいき、少し考える。 「そうだな、そうしてみるよ。」 ******* 今思えば、この判断が間違ってたんだ。 俺が「別れて」って言って、あんなに月が傷つくなんて思わなかった。 俺が好きなだけだと思ってたから。 本当はすぐに謝るべきだと思ってる。 でも、何て言えばいいんだよ…。 「…月。月、大好きだよ。」 当たり前のように月は俺の隣にいたから。 返事がないのが辛くて。 俺は携帯を手に取った。

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