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第16話
「海…?なんも…見えない。真っ暗…」
「そりゃそうだよ。…だって、目隠ししたからね。」
海の声が少し弾んでいるのがわかる。
なんで楽しそうなんだ…?
「虎からさ、メールが来たんだけど。なんて書いてあったと思う?」
「えっと……」
多分、公園であったこととかのことだと思う。
心当たりは嫌というほどあったけど、海に伝える勇気はなかった。
「…だんまり?ま、お仕置きだよね。不安にさせた…俺が悪かったけど月は約束破りすぎ…。俺、伝えなかったけ?虎だったら大丈夫だと思うけど、あいつだってゲイだし、気をつけてって。特に、エロい雰囲気とかなったときはダメだって。」
忘れているわけじゃない。
だけど、虎だったら大丈夫だなって思うじゃん?
そう思い黙り込んでいると、海は目隠しを外してスマホの画面を見せた。
そこに表示されていた文字を読んで驚愕する。
『俺は身をひいたんだから、お前が責任持って幸せにしろ。…次、月が俺にねだったら俺マジでヤるからな。』
「どういう……」
「どういうも何も、そのままだよ。…月のこと虎も好きだからね。虎はわりきってるし、俺も信頼してるから言ってなかったけど。好きな人にねだられて、我慢できる奴なんてなかなかいないから。」
もうわかったよね、と海はまた目隠しをつけた。
さすがに何も言えず黙り込んでしまう。
虎にも、海にも申し訳なさ過ぎて何も…。
海はゆっくりと俺の手をなぞった。
「んっ……」
視界が奪われて、海がどこにいるのかもわからない。
その上、いつもよりも感じやすいとなったら俺は今日やばいのではないか。
本能的にそう思う。
「かっ…海!一旦ストップ!!これ外して!」
どこにいるかわからない、でも俺のすぐ近くにいるであろう海に声をかける。
「なに?」
不満そうな海の声とともに視界が開ける。
じっと、俺を見つめる海と目が合う。
「海との約束破ったのは俺だし、悪いと思ってる。だけど、この俺の状況で目隠しされてだと…俺、怖い。」
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