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第4話 F4α

「アリス、大丈夫だった? 水樹くんと仲直り出来た?」  教室に戻ると雅也が心配そうに駆け寄る。  雅也の優しさに満身創痍の身体が溶けるように癒されていく。水樹と喧嘩して仲直りしてきたと勘違いしている雅也が尊い。 「……うん、なんとか……」  保健室で散々犯され、昼前に水樹は去っていった。空腹で目を醒ますと身体は拭かれ、シャツを着せられ制服は綺麗に畳まれていた。重い腰を上げ、廊下やわ伝いながら教室へ戻ってきた。ふらふらと席に着くと、雅也が窓に視線を向ける。 「あ、見て、アリス。F4αだ。水樹くん、こっち見てるけど……」  F4α:fujossy学園で1番有名な4人のαだ。  この学園理事長の孫、瀬谷 水樹(せや みすぎ)が引きいる厳選された4人のαを陰で皆、そう呼んでいる。  親が警察庁長官である門倉 健(かどくら けんた)、有名デザイナーの子供の如月 奏(きさらぎ そう)、華道の名家である西園寺 悠(さいおんじ ゆう)がメンバーだ。容姿端麗、眉目秀麗、全てが完璧に揃い、将来を輝かしく背負う最高で最上のイカれた4人だ。  四人の性格はそれぞれ異なる。門倉は真面目で寡黙、如月はチャラい、西園寺はおっとりと雅也に似て温和で1番まともだと見ている。そしてその上に立つ、水樹は暴君で横暴の王様だ。  四人は校庭で体育の授業を受け、仲良く笑いながら話しているのが教室の窓からよく見える。  こうして見ると平和な男子高校生に見えるが、彼等に逆らう者は容赦なく酷い仕打ちを受ける。  前に水樹に喧嘩を売ってきた三年のαは退学させられ、如月にちょっかいをかけてきた二年のΩは散々ヤラれてポイされたという噂を聞いた。  自分にとって違う世界であり、関わりたくない。  校庭で授業を受けている四人に対し、教師は顔色を窺うように慎重に説明している。 ただ一人、水樹がじっと見上げるようにこちらを見つめているが、見ないように視線を外す。なんで自分の席がいつも窓側なんだろう。くじ運の悪さを呪う。 『……アリス、おまえはどうしたら手に入るんだ…?』  水樹につけられた手首の痕が目に入る。  知らないよ。  手に入らなくて十分だ。  あのF4αにはそれぞれ番がいて、Ωがあてがわれている。ましてや、番になりたい者は後を立たない。  水樹はそれを断り続け、アリスを構う。それだから、Ωからの嫌がらせが昔から絶えなかった。  どうしてβが?  番にもなれないβのくせに?  平凡で普通のβ。  はいはい、どうせβだ。  あああああ! 嫌だ! 静かに暮らしたい!  雅也と肩を並べて、ひっそりと学園生活を過ごしたい! アリスは毎日強くおもう。 「ど、どうしたの? アリス? やっぱり今日は早退したら? 顔色が悪いし、情緒不安定だよ。」  頭を掻きむしりながら突っぷすアリスに雅也は心配そうに言う。 「………そうする」  赤黒く残る痕をみつめながら、溜息をつく。乳首はひりひりと痛い。まだ高校生なのにもう尻は貫通済。 『おまえはここが濡れないからな。優しくほぐさないと挿入出来ない。もう三本目だ。気持ちいいか?』  そう囁きながら、一本一本指を増やして孔を拡げていく水樹を思い出してしまう。  最悪だ。

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