4 / 24

第4話

「あまり自分を苛めるな」  それだけ言うと省吾は立ち上がり、木陰から出ていった。  その背中を見送る廉は、彼が何か落としたことに気づいた。 「甲斐さん、落としましたよ」  だが省吾にその声は届かないのか、振り向きもせずに行ってしまう。  廉は急いで立ち上がり、省吾が落としたものを拾いに草むらへ走った。  見つけたのは、飴玉。  500円硬貨ほどの大きさの、塩飴一個だった。 「何か書いてある」  飴の袋に、黒マジックで神経質そうな文字が並んでいる。 『くじけるなよ』  廉の胸は、いっぱいになった。  クールで感情をあまり表に出さない省吾の、精一杯のエールだ。 「甲斐さん、ありがとうございます!」  省吾の姿はもう見えなかったが、廉は思わずそう叫んでいた。  

ともだちにシェアしよう!