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第5話

 昨日に続き、廉は夏草をむしっていた。  だが、気持ちはやや上向き加減だ。  省吾が落とした一個だけの塩飴。  あれを舐めた後、元気が沸いた。  今朝はコンビニで同じ塩飴を一袋買い、舐めながら草むしりをしていた。 「どうだ、調子は」  昨日同様、ふいに頭上から声がした。  省吾が、また様子を見に来てくれたのだ。 「あ、甲斐さん。昨日は飴、ありがとうございました!」 「まぁ、疲労回復にはちょうどいいからな」 「飴の袋、大切に持ってます」 「変な奴だな。ゴミを後生大事に持ってるなんて」  ゴミだなんて、そんな。  省吾の気遣いの言葉が書かれた袋を、無碍に捨てるなんてことは廉にはできなかった。 「ほら、水分もちゃんと摂れ」 「あ、すみません。ありがとうございます」  省吾と共に木陰に座ると、廉は彼がくれたスポーツドリンクを口にした。 「ッ、は~ッ! 美味い!」 「ビールじゃないんだぞ」 「酒より、美味しいですよ」  それは何げない一言だったが、省吾から意外な言葉を引き出した。

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