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第6話

「三好は、いけるクチか。一緒に、飲みに行こうか」 「え、いいんですか?」  まさか、甲斐さんから誘ってもらえるなんて!  洒落たバーで、クールに一人でグラスを傾けているイメージの省吾だ。  そんな彼から誘いを受けるなんて、廉は嬉しいより先に驚いた。 「会社では話せないこともあるからな。OKか?」 「もちろんです!」  それは良かった、と省吾は立ち上がり、木陰から出ていった。  短い休み時間を使って、わざわざ会いに来てくれる省吾に、廉は感謝した。  すると、また省吾は何か落とした。 「あ、甲斐さん! 落としましたよ!」  彼はやはり、振り向きもせずに去ってゆく」  廉は、省吾が落としたものを拾いに、草むらへ入った。 「また塩飴だったりして」  だが今度は、丸めた紙だった。 「ゴミかなぁ」  しかし、省吾はゴミをポイ捨てするような人間ではない。  廉は紙を広げてみた。  そこには、青いインクでこう書かれていた。 『本日18:00に搬入口で』 「お誘いの手紙だ!」  おそらく省吾は、始めから廉を飲みに連れて行くつもりでいたに違いない。  社内でも切れ者の省吾だ。  男性、女性、どちらからも憧れのまなざしで見られている彼に、誘ってもらえた。  それだけでもう、廉のメンタルは一気に上昇した。  猛然と草むしりを再開し、定時には目標以上の面積をきれいにすることができた。

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