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第10話

 明日は休みだが、これ以上飲むと体に悪い、と省吾は会計を済ませて廉を外へ連れ出した。 「僕、どこまでも甲斐さんについていきますからぁ!」 「解った解った」  酔った廉をタクシー乗り場へいざない、省吾は彼の前に止まっている車に合図をした。  自動ドアが開き、この年上の男は廉をタクシーへ押し込んだ。 「こいつ、家まで送ってやってください」  運転手に札を握らせると、自動ドアは静かに閉まった。  いい気分でいた廉だが、足元を見ると何か落ちている。 「何だろ」  それは、マンションのカードキーだった。 「こ、これ! 甲斐さんの!?」  省吾はと見ると、廉の後ろのタクシーに乗り込んでいた。  タクシーはすでに発車しており、降りることができない。  廉はカードキーを握りしめると、運転手に向かって叫んでいた。 「後ろの車を、追ってください!」 「お客さん、難しいこと言うね!」  このキーが無いと、省吾は部屋へ入れない。  幸い運転手は車線変更などを利用して、省吾の乗ったタクシーの後ろに回ることができた。 「この鍵、何としても届けなきゃ」  その一心で、廉は後先考えずに省吾を追った。

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