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第12話

「わぁ~、すごい。大人の雰囲気……」  通された部屋を見回し、廉は溜息をついた。  広く取られた窓、背の高い観葉植物、大きなソファに、北欧家具調のローテーブル。  洗練された、シックなリビングだった。 「シャワーを浴びないか? 三好、たいがい酒臭いぞ」 「す、すみません!」  バスを借りるのは図々しい気がしたが、臭いと思われるよりましだ。  廉は大急ぎでバスルームへ入った。  広いバスルームでシャワーを浴び始めると、省吾の声が脱衣所から聞こえて来た。 「部屋着を、ここに置いておくから」 「はい! すみません!」  部屋着まで借りるとか!  もうここまで来たら、存分に甘えてしまうしかないな、と廉は腹をくくった。  バスタブが四角ではなく楕円形、という点に驚きながら湯につかる。  ここにも広い窓が設けられており、夜景がとても綺麗に見える。 「すごいよな~。僕のアパート、ユニットバスだもん」  あまり長風呂すると、省吾がバスを使えなくなる。  そこそこで風呂から上がると、省吾が用意してくれた部屋着が待っていた。  着てみると、ぶかぶかだ。 「これは、甲斐さんの部屋着だな」  しかし、袖に鼻を近づけると新しい匂いがする。  新品を、廉のためにおろしてくれたのだ。  省吾の気配りに感動しながら、廉はリビングへ歩いた。

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