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兄貴の困惑3

『僕、いい声で啼くよ。僕と手を組んでくれたら、若林先輩のスマホでもれなく録音できるけどね』 『いいのかよ?』 『その代わり、僕の言うことをきくことが条件。どうする?』  ピアノに両腕を括りつけられた状態でアピールするのは、それなりに困難を極める。だからこそ、その逆境に燃えずにはいられない。舌舐めずりしつつ、ワイシャツの開けたところから見え隠れしているっぽい乳首を揺らしてチラつかせ、それをエサにしてみる。  僕のアピールに気がついた若林先輩は瞳を細めて、にんまりと笑った。 『生意気なタメ口で交渉するところは気に食わないけど、それ以外は許せるから手を組んでやるよ』  両手で僕のワイシャツを掴み、思いっきり全開にして顔を埋める。いきなりはじまってしまった行為の素早さに呆れたが、計画を完璧にしたかったゆえに、この動きを止めるしかない。 『待って待って! 若林先輩のスマホで、これからのことを録音して証拠にしなきゃ。録音がスタートしたら、全力で嫌がるプレイを開始するよ。そのほうが若林先輩も楽しいでしょ?』 『わかった、ちょっと待ってろ』  スラックスのポケットからスマホを取り出し、ご機嫌な様子で操作をはじめる。 『若林先輩、録音がスタートしたら、スマホを床に置いてね。それと僕にキスしないこと』 『注文が多いな、わかったよ。キスはしないが、他はなにをしてもいいんだろ?』 『うん。好きにしてかまわない。どんなことでも受け入れてあげる』  キスだけは、どうしても他人としたくなかった。兄貴の綺麗な唇だけを忘れずに感じていたかったから――。 『それじゃはじめるぞ』  わざわざ強姦の証拠をとってくれることに感謝しながら、僕は若林先輩に抱かれた。 『んんっ…っぁ! や…め…っんん……ぁ』  泣きながら嫌がる僕を組み敷く若林先輩は、とても嬉しそうだった。快感に喘ぐ僕の耳元に顔を寄せて、録音されないように囁きかける。 『宣言どおりマジでいい声で啼くのな。興奮が抑まらねぇよ。痕つけていいか?』 『もう…やめて、くださぃ』  否定するセリフを口にしたけれど、首を縦に動かして大きく頷いた。喜び勇んだ若林先輩は、上半身のあちこちにキスマークをつけまくる。チクッとする独特な痛みに顔を歪ませながら、全力で嫌がるプレイに興じたのだった。

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