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弟の悲しみ11
辰之が大きくビクつくと、自身を扱いている手がびちゃっと濡れた。それに驚き躰を起こしてそこを見たら、痙攣とリンクして透明なものがだらだら溢れ出る。
「うあ、ぁああっ♡♡ んッ、あっ、あんっ、もぅらめ…ッ」
ぐったりしながら目を閉じて口で呼吸を繰り返す辰之に、なんと声をかけていいものか困ってしまった。
「あのさ、辰之。おまえ――」
「兄貴やりすぎ。俺を感じさせたいからって、潮吹きさせるとか信じられない……」
「潮吹き!?」
(おしっこじゃなかったのか。ごしごしやりすぎて、尿意を促してしまったかと思った――)
「兄貴のバカ……。責任とってよ」
どこか恥ずかしそうな表情の辰之が、俺のブレザーの襟を引っ張った。
「責任って、ちゃんと拭いてやるし」
「そうじゃなく。僕まだイキ足りないんだけど?」
「えっ?」
「兄貴の勃起したそれを見せられたせいで、奥が疼いてどうしようもないんだよ」
襟を掴んだ手でブレザーの裾をチラリと捲り、大きくなっている俺のをわざわざ目視させる。
「ここここ、これについては構うなと言うか、刺激を与えるなってお願いしたくて!」
「兄貴は好きな相手が求めてるっていうのに、それを無視しちゃう無神経な人なんだ?」
ごくりと唾を飲んだ俺の喉音が、静まり返る部室に妙に響いた。突き刺さるような辰之の視線がつらすぎて、目線を合わせないように必死になる。
「宏斗兄さんは、僕とひとつになりたくないの?」
「ひっひとつってあの…この間、俺の部屋でしたアレ?」
(股間を勃起させたままマヌケな質問する俺は、この世で一番馬鹿だろうな)
彷徨わせていた視線を、渋々目の前に向けた。俺のまなざしに映った顔は、どこか意地悪そうなものに見えなくもない。辰之はちょっとだけ唇を尖らせながら話しかける。
「さっきはバイブを取り除くことに一生懸命になっていたから意識してなかっただろうけど、僕は挿入された兄貴の指に感じまくってた。それこそバイブよりも気持ちよかったよ」
「そうだったのか……」
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