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校長の式辞とかいう無駄に長い話を聞き終えた生徒達は、ざわつきながら体育館を後にする。新入生もその後に続き、緊張した面持ちで右も左も分からない校舎内を見渡しながら、各自自分の教室へと戻っていく。 教室では、どうにか新しい友達をつくろうと賑わっていた。 (このクラスレベル高すぎぃ……!) 一人、見渡しながらにやけている咲舞。しかも咲舞の視線にあるのは女子をみているのではなく、男だ。一人一人、目ぼしい男子生徒を舐めるかのように眺めている。 何故、女じゃなくて男を? と思うが、咲舞の恋愛対象性対象は無論男である。 ちなみに、この無駄に金のかかるボンボン学校を受験した理由も、都内で一番イケメンが多いからだという単純すぎる理由だったりする。 そして偏差値60越えの学校を学年ワースト3だった咲舞がイケメンに会いたいからというだけで、死に物狂いで勉強し合格するまでに至ったのだからすごい。 頑張って良かった! と涙を流して喜びたいがそれよりもこの大勢のイケメン達を脳に焼き付けるのが先だ。共学だから女子もいるが咲舞の眼中にはなく、素っ裸の男達しかいない。 涎をギリギリ垂らすのを堪えるが、妙に瞳はギラついて咲舞と眼があった男子生徒は「ひっ…!」と思わず声を洩らす始末。 ただでさえ、咲舞の鋭い目は人を寄せつけないのに、自分の目が鋭いことに気付いていないのは本人だけである。 そんな咲舞を眺めている人物が一人。 好奇の色が混じった目で咲舞の横顔を見つめている。 しかし、イケメンウォッチングに勤しんでいる咲舞はその視線に気付かないでいた。

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