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ほらやっぱり。
俺の勘は正しかった。
「えー? ほんとに?」
キャピキャピと高い声を上げて、やたらとベタベタと男子生徒に触れているのは女子生徒ではなく間宮だ。しかも、なぜか男子生徒の方も間宮のスキンシップにまんざらでもない顔をしている。
(……くっそ、悔しい! 俺もいいなって思ってたのに! くそビッチめ、手が早すぎるだろ!)
これだからビッチは……! と悔しさを押し殺して蔑んだ目で見てやる。が、
「………あ」
なんということだろう。
バチッと目が合ってしまった。
「ちょっと行ってくるね」
間宮は男子生徒にそう言うと、俺の元に近寄ってきた。
うわ、来ないでいいのに。
「ねぇ、今俺のこと見てたでしょ」
「……はぁ?」
近寄ってきたかと思うといきなりそんなことを言う。
確かに見ていたが、それは断じてそういう意味でみていたわけではない。
違う、と言おうとしたが、その前に間宮が俺の耳元に顔を寄せてきた。
「うわこいつビッチかよ、って顔してたよ」
「!!」
俺だけに聞こえる大きさで囁いた間宮に、驚きのあまり目を見開く。バッ、と間宮の顔を見上げると人を喰ったような笑みを浮かべていた。
「当たり。俺、男好きなんだ」
続けて衝撃のカミングアウト。開いた口がふさがらないってのはこういう時に言うのだろうか。いや、そうだと思っていたけども! こうも直球に言われてしまうと、こちらとしてどう反応して良いのか分からなくなる。
「へ、へぇ……いいんじゃない?」
何がいいんだが分からんが、とりあえずこのクソビッチとあまり関わらない方が良さそうな気がする。てか、関わりたくねぇ。
「だからさ、ごめんね。エマの邪魔しちゃうかも」
なんのことだ、と怪訝に間宮を見る。申し訳なさそうにしているが、口元に浮かべた笑みはそのままだ。こいつアレだけど、やっぱり顔だけはイケメンだよな。
「エマも男が好きなんでしょう? でも俺、クラスの男子全員と寝たいなって思ってるから」
あっ…こいつ本当にやばい奴だわ。
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