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「うっ……いてて…」
鉄拳を喰らった顎をさする。まだ痛みが引かねぇぜ。
でも、あの生徒会長、本当に俺好みだったな。気が強そうで美人で。
「あっ、結局名前すら聞いてない」
まぁ別にいいか。生徒会長なんだからいつでも知る機会はあるだろうし。それに生徒会に反省文持ってこいなんてお誘いも受けちゃったし! それってそういうことでオッケーだよな!?
「おはよう、エマ」
今日も眩しい笑顔で挨拶してくる間宮。一見爽やかイケメンだけど、残念そんな事はなく
「おはよ、モブ山くん。あとでね……?」
「は、はい……!」
今日も今日とて、清々しいビッチぶりだ。
「どうしたの? 変な顔してるよ」
「変な顔で悪かったな」
「ううん? エマって美形だよ?」
「……そぉーお?」
って、いかんいかん。何嬉しくなってんだ俺。相手は天敵のビッチだぞ。男を落とすスペシャリストの話術に引っかかってどーする!
「本当だけどな。あっ、俺そろそろ行かないと」
「え、行くって、次の授業ここであってるぞ」
「ふふ。野暮用だよ」
……まじかよこいつ。
ビッチスマイルを俺に送ると、軽やかな足取りで教室を出て行ってしまった。
今はまだ1時間目だぞ。あいつ、学校にナニしにきてんだろうか。
「本当きめぇな」
ビッチを絶対に好きにはなれない。誰が誰だか知らねーやつと穴兄弟になりたくなんてないし。
やっぱり心も身体も清廉潔白で純情でなくっちゃあな。
そう、例えば──
──ピロロン
「おっ……メールだ」
ポケットからスマホを取り出す。メールボックスに一通のメールが来ていた。
メールの相手とは、もちろん。
「智久さん……」
俺の愛しい愛しい恋人からだった。
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