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薄暗い部屋に聞こえてくるのは、ヴィィンと鳴り響く機械音と苦しそうな男の息遣い。 両手両足を縛られ、お尻の穴に奥深くまでハメ込まれたグロテスクなバイブ。中で振動しているバイブはぐねぐねと肉壁を擦るが、弱に設定されているため振動はそこまで強くなく、まだ耐えることが出来る。 けれど、こうしてもう一時間以上。長い間この無機質な物体に慣らされ、弱い快楽を与えられ続けていた。 「ンっ、く…はぁっ…睦月ぃっ、もっ…これいやや…んぁあっ…はっ」 息苦しくて涙が出てくる。それになによりも……焦ったい。 弱い振動では達するには程遠く、イキたくてもイケない。それに手足も縛られているため、自分で慰めることもできず、まるでおあずけを喰らった犬のよう。 こんなんじゃなくて、もっと……。 もじもじと股を擦り合わせ、強請るように見上げるがそこにはこっちの様子なんて見向きもせず、椅子に腰掛けて悠々と漫画を読んでいる睦月の姿。 恋人にこんな変態プレイ強要しとって放置ですか。くっそ、睦月の変態禿げろ! 「……あ? なんつった?」 「ひっ、ーーあっアぁあ゛ッ!」 心の中でついた悪態が知らず口に出ていたなんて。聞こえていた睦月が眉をピクリと動かし、あろうことか手元のスイッチを一気に上げくさった。 ウ゛ーーッとけたたましい音が響き、先ほどまでと全く比べものにならないくらいの快楽が襲う。 「あ゛っあっあ、ひぁっあああっんぁっあっ!」 ごりごり、中でバイブが暴れ回り中を抉る。焦らされたせいか、信じられないくらい気持ちよくて頭の中は真っ白。もう、何も考えられない。 「はは…声ヤバい。そんなに気に入った?」 「はぁっ、あっ、ああっんひぁっっ、いくっいくっぅああああっ」 「…っ」 ようやく迎えた絶頂に睦月の家だということも忘れ、はしたない声を抑えもせず叫ぶ。 「あ゛っあァっ! いっ、いいっからぁっも、イッたっイッたってぇ、ひっ いやぁああっ!」 あほみたいにイキまくってるのに、バイブは尚も動き続けてこの凄まじい快楽は全然引いてくれない。快楽も過ぎるとひたすら苦しくて、涎を垂らし号泣する。 「…ふは、泣いて喜ぶぐらい良いんだな。でも──ムカつく」 低い声で苛立ち気に吐いた睦月はベッドに乗り上げると、乱暴にバイブを引き抜いた。 「ア゛ぁあっ!」 バイブを床に投げ捨て、俺の膝を掴むと覗き込んだ。バイブによってぐっぽりと開かれた穴をみて「ぅわぁ…」と感嘆混じりに洩らす。 「…中まで丸見え。ぶち込みてェ」 ぶち込むけど、と自己完結なさった睦月は俺の制止も聞かず宣言通りにバキバキに勃起したものを穴に突き入れた。バイブなんかとは違う熱くてずっしりとした質量に、アナルがきゅんきゅんと歓喜して睦月のモノを咥え込む。わぉ、俺の身体って素直すぎる。 「ふぁああんっ、いいっ、睦月っ…睦月のんがいいっ!」 「っ、ほんと、馬鹿じゃねぇの…!」 盛大な舌打ちをかますと苛立ったように腰を動かす。……あれ、でもちょっと嬉しそう? 「……何見てんだ、集中しろっ」 「んぁあ!」 腕が自由やったら睦月のこと抱きしめるのに。 それが出来なくて残念だと思うくらいには、俺はこのバイオレンスな恋人様を愛しているのだ。 その頃一方、椎名家では── 「おい、糸目。ヤラせろ」 「ぎゃあっ、いつのまに入ってきたん!? って僕休んで──脱ぐなあああ」 栄の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。ちゃんちゃん!

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