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初kissはどんな味?
でもでも、律さんは甘い匂いがするからキスも甘かったりしてっ!
なんて……。
エロいことを考えてしまう。
バクバク。
ドキドキ。
俺の鼓動がより大きくなる。
コトン。
なるべく震えないよう、体を動かして、オムライスを盛った皿をテーブルに置く。
「あ、うん。別に不味かったら無理して食べなくて良いからっ!」
嘘だ。
本当はそんなこと思ってない。
一生懸命作った料理だ。
折角、律さんの好物を作った。
美味しいって言ってもらいたい。
喜んで食べてもらいたい。
俺の料理で、少しでも笑ってほしい。
だけど俺、全然素直じゃいられなくて。
こんな憎まれ口しか叩けない。
「どうして? 楓の料理、お弁当もいつも美味しいよ。父さんも喜んでる」
「あ、そう」
なんで……。
なんでこんなツンケンした言い方しかできないかな。
好きって気持ち、律さんにはバレないようにしようって思えば思うほど、こんなツンケンした態度しかとれない。
これじゃあ、好きっていう気持がバレる前に嫌われるんじゃないだろうか。
「楓、いつもありがとう」
律さんはそう言って、にっこり笑う。
ドキンッ!
微笑む律さんはやっぱり綺麗で格好良い。
俺の心臓がまた大きく鼓動した。
「――っつ」
笑いかけないで。
俺を見ないで。
好きってバレてしまいそうになる。
顔が、熱いよ……。
だから俺は律さんから逃げるためにポケットからラブレター数枚を取り出して律さんに渡した。
「律さん、はいこれ。俺、配達係じゃないんだけど。ほんと迷惑なんだよね」
――また。
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