9 / 31

初kissはどんな味?

 でもでも、律さんは甘い匂いがするからキスも甘かったりしてっ!  なんて……。  エロいことを考えてしまう。  バクバク。  ドキドキ。  俺の鼓動がより大きくなる。  コトン。  なるべく震えないよう、体を動かして、オムライスを盛った皿をテーブルに置く。 「あ、うん。別に不味かったら無理して食べなくて良いからっ!」  嘘だ。  本当はそんなこと思ってない。  一生懸命作った料理だ。  折角、律さんの好物を作った。  美味しいって言ってもらいたい。  喜んで食べてもらいたい。  俺の料理で、少しでも笑ってほしい。  だけど俺、全然素直じゃいられなくて。  こんな憎まれ口しか叩けない。 「どうして? 楓の料理、お弁当もいつも美味しいよ。父さんも喜んでる」 「あ、そう」  なんで……。  なんでこんなツンケンした言い方しかできないかな。  好きって気持ち、律さんにはバレないようにしようって思えば思うほど、こんなツンケンした態度しかとれない。  これじゃあ、好きっていう気持がバレる前に嫌われるんじゃないだろうか。 「楓、いつもありがとう」  律さんはそう言って、にっこり笑う。  ドキンッ!  微笑む律さんはやっぱり綺麗で格好良い。  俺の心臓がまた大きく鼓動した。 「――っつ」  笑いかけないで。  俺を見ないで。  好きってバレてしまいそうになる。  顔が、熱いよ……。  だから俺は律さんから逃げるためにポケットからラブレター数枚を取り出して律さんに渡した。 「律さん、はいこれ。俺、配達係じゃないんだけど。ほんと迷惑なんだよね」  ――また。

ともだちにシェアしよう!