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本当は、ね?
「……っひ、っひ」
だけど俺ってば最悪。
母さんと翔さんが再婚して3ヶ月。同居してから季節は秋になったのに、相変わらず律さんに対して口が悪い。
目付きが悪い上に性格も最悪なんて救いようがない。
このままじゃ、律さんに違う意味で嫌われそうだ。
だけど、律さんはすごく優しい。
すごく優しいんだ……。
こんなに好きなのに、告白できなくて。
俺、何やってるんだろ。
「っひ、っひ……」
しばらくベッドの上で蹲って泣いていると――。
ああ、まただ。
眩しいライトの光が薄暗い室内へと入り込む。
同時に複数のけたたましいバイクのエンジン音とモーター音が響いた。
俺は暴走族のバイクの音が苦手だ。
普通のバイクのモーター音とかならまだ平気なんだけど、こう何台もひっきりなしに走られるとすごく怖くなるんだ。
バイクで亡くした父さんを思い出すから……。
「……っひ」
怖くて怖くて仕方が無くて。
体がガクガク震えてしまう。
ベッドの上でいっそう縮こまる俺。
そしたら、さ。
コンコン。
控え目に部屋のドアをノックする音が聞こえる。
これが誰のものなのかは知っている。
だって今、この家にいるのは律さんと俺の2人だけ。
そしてこうやって律さんが部屋をノックするのは今が初めてじゃないから……。
「楓? 入るよ?」
律さんは俺がバイクの爆音が嫌いなのを知ってくれてて、こうやって心配してくれるんだ。
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