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好き。

 ――次に目を覚ますと、そこは豆電球だけが点いた薄暗い俺の部屋だった。  目の前のすぐそこには好きな人がいる。  添い寝、してくれていたんだ。  俺のこと、心配してくれてるの?  そう思うと、トクン。って心臓が大きく高鳴る。  長い睫毛。  すっと通った鼻筋の下にある薄い唇。  律さんはすごく格好いい。  律さん。  俺、嫌われたくないよ。  好きなんだ。  すごく好きなんだよ……? 「律さん……」  ――今だけ。  そう言い聞かせて律さんの胸に縋る。  このまま……。  俺なんてなくなって。  律さんとひとつに解け合えることができればいいのに。  胸板に頬を擦り寄せ、こっそりそんなことを思う。  そうしたら。さ、俺の気持ちが伝わったみたいに律さんの腕が俺の背中に回った。  ギュって抱きしめてくれる。  俺と同じ石けんの香りが鼻をくすぐる。  それが嬉しくて、口元が緩んでしまう。  もう少し、もう少しだけ……。  俺は体を引っつけて、律さんに甘えるんだ。

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