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笑顔も格好いいなんて反則だっ!
「――ッツ!」
その笑みさえも格好いいなんて反則すぎる!
俺はしゃくりをあげて、律さんの話に聞き入る。
「実はね、父さんと薫子さんがお付き合いをはじめている頃から、父さんから、『健気な息子さんがいる』と散々聞かされていてね。会う前から君のことを知っていたんだよ。目で追うたびに可愛いなって思っていたし、時々目が合うから、もしかしてと思っていたけれど……」
「あの……」
もう涙は引っ込んでいる。
顔を上げれば、涙の跡を親指の腹で拭ってくれた。
その仕草だけで俺の胸がキュンってする。
「泣き虫なところも可愛いし、バイクの騒音が怖くて俺にしがみついてくる時とか、もっと守ってあげたくなる。俺の保護欲がそそられる」
そう言った後、声のトーンを一際明るくして、楽しそうに話す。
「あとね。弁当に俺が好きなもの、いつも入れてくれてるでしょう? 自分には入ってないって父さんがボヤいてたよ」
フフって笑う吐息が頬に当たる。
こそばゆい。
「そ、れは……律さんに喜んで食べて欲しくて……気づいて、たの?」
「気づかないも何も。だって俺は楓が可愛くて仕方がないし? ずっと見ていたからね」
ドキドキしすぎて焦点が合わない。
目をあちこち動かしていると。
「可愛いだけじゃなくて料理も上手だし。――で、胃袋まで鷲掴みにされちゃった」
「ね、楓が大学生になったら二人で暮らそうか。父さんと薫子さんなしで。そうしたら俺はいつでも楓を独占できるし、楓の手料理だって食べ放題だ」
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