21 / 35

4-5

「僕は、もうこれ以上拓海を誰かに取られるなんて嫌なんだ。そんなの耐えられない」  呻くような声と共に唇にギュッと何かが押し当てられた。噛み付くような鋭いキスは強引に俺の口をこじ開けようとする。 「や……っ!」  咄嗟に両手を突っぱねて腕の中から抜け出そうとした。だけど、ユキの力の方が遥かに上だった。 押さえつけるようにユキが俺の上に覆いかぶさって来る。身を捩りなんとか彼を押し返そうとしたが逆にその手を取られて余計に床に押し付けられてしまう。 「離せ、離せってば!」 暴れれば暴れるほど2サイズほど大きなシャツがはだけて素肌が外気に晒される。なんでこんなに力が強いんだ! 俺だって非力ではない筈なのにビクともしない。 「ちょ、嫌だ、や……っ!」 どれだけ嫌だと叫んでも、ユキは俺を離してくれない。それどころか、はだけたシャツの奥に手が滑りこんでくる。胸元を撫で回す指先からゾクリとする感覚が全身を駆けて、身体がびくりと跳ねた。信じられなかった。こんなことをするユキも、自分の反応も……。 この時になってもまだ、ユキは俺にひどい事はしないと、信じていたかったのかもしれない。 だけど、短パンのゴムに指がかかり、下着ごと一気に引きずり降ろされてサァっと血の気が引いた。 慌てて身を捩って逃れようとしたけれど、腰をがっしりと掴まれて四つん這いのような格好にさせられ、薄い布越しに強く性器を握りこまれて息が詰まる。 「ちょ、待っ……嘘だろ、ユキ……」 外気に晒された尻にユキの熱い手の平が触れる。なんの準備もしていないソコに指を押し当てられて恐怖で腰が引けた。 ぐ、と強引に乾いた指が鈍い痛みと共に押し入って来る感覚に息が詰まった。 「言っただろ。僕には拓海が必要なんだ。誰かに取られるくらいなら僕が……全部奪ってやる!」 苦しそうに呻いたと思ったら指が第二関節のあたりまでめり込んできた。焼けつくような痛みに身体が震え、これから先の事が容易に想像できてゾッとした。 このままじゃ俺本当にやられる――っ。 「やだっ、いやだって! 止めろよ雪哉ぁっ!」 もがいても、暴れても身体をホールドしている腕は緩まない。それどころか、動くたびに尻の窄まりに押し当てられた指が中を掻きまわし気持ち悪くて吐き気がこみあげてくる。 とにかく、怖いやら、悔しいやら、泣きたいやらで俺の頭の中はもうグチャグチャ。 自然と目から涙がポロポロと零れ、頬を伝った。 「も……止めてくれよ……お前、こんなことして楽しいのか」 「拓海、僕はキミを泣かせたいわけじゃ……」  ほんの一瞬、ハッとしたように雪哉の動きが止まった。明らかに動揺の色が走りほんの僅かな隙が見えた。 次の瞬間、俺はありったけの力を込めてユキを突き飛ばし、その辺に落ちていた短パンを履いて逃げるようにユキの部屋を飛び出した。

ともだちにシェアしよう!