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 背中に腕を回して熱烈なキスに夢中になっているとグッと膝頭を持ち上げられた。ベッドに組み敷かれ、両足を割り開かれ尻に手が伸びる。  冷たい指の感触が秘部に触れた時一瞬ヒヤッとして腰を引きそうになった。けどなんとかそれを押しとどめた。  大丈夫、怖くない。だってこれは大好きな人の手だ。 「……んっ」  唾液をたっぷり含んだ指が入ってくる。慣らすようにゆっくりと押し入ってくる感触に身体が震える。  痛くはない。ただ、なんとなく変な感じ。小刻みに指を揺らしながら、強張らせた筋肉をほぐす様に腿や尻の肉を優しく揉まれると意識しなくても自然と力が抜けた。  一度侵入を許すと、指が増やされていくのは難しい事じゃなかった。たっぷりと唾液を含んだ指先が2本、3本と俺の中に埋め込まれていく。その指がある一点に触れた時、ビリッとした電流のような何かが背中を駆けた。 「あ、……っ、あ、あ、――ひ、ぁあっ!」  な、なに? 今の。覚えのある感覚に全身が総毛立つ。 「ここ、か……」 「なに、そこ……っや、あっ」  同じ箇所をアキラの指が撫でるたびに立てていた膝ががくがく震えて力が入らず、つま先がシーツの上を滑った。無意識のうちに逃げようと腰を捩るとアキラの指が追いかけてきて同じところを何度も刺激してくる。   「あっ、ああっ」  アキラの指がその場所を確かめるように何度も同じ所に触れる。そのたびに言いようの無い快感が渦を巻き、堪えきれない嬌声が洩れた。こんな声恥ずかしいのに、止めることが出来なくて慌てて手の甲を噛んで耐えた。 「ん、ふ……っ、ぁ、んんっ」 「声、我慢するな……もっと聞きたい」  熱っぽい囁きと共に手を外され片手でシーツに縫い留められる。 「や、っ恥ずい……」 「大丈夫。直ぐに何も考えられなくしてやるから」  ちゅぽんと音を立てて指を引き抜かれ、同時に熱い塊が押し入ってくる。 「――っ……く……あっ」  覚悟はしていたけど、やっぱりきつい。指ならすんなり飲み込んだのに、物凄い圧迫感に息が詰まりそうになる。 「く、やっぱキツいな……」  腰を抱えられ足を高く持ち上げられた。無理な体勢に身体が軋む。内臓を押し上げられるような感覚に呻くとアキラが動きを止め、宥めるようにキスをくれる。 「ゆっくり、息を吸ってみろ」  優しい声で指示を出しながら、俺が落ち着くのを待ってゆっくりと腰を引き、また突き立てる。  痛い。苦しい。みぞおちのあたりまで圧迫されるような息苦しさに自然と涙が滲んだ。 「渡瀬、大丈夫か?」   目じりに浮かんだ涙を熱い指先が掬い、心配そうに顔を覗き込んでくる。 「だい、じょうぶ……」 「ホントかよ」  怖いし、痛いし、苦しいけど、此処で止めたらきっと俺は後悔する。アキラだって辛いくせに。  額の汗を拭ってくれるアキラの額にも汗が滲んでいる。俺を傷つけないために必死に我慢しているのだろうと思ったら堪らなく胸が疼いた。  だけど、苗字で呼ばれるたびに心に変な空間が生まれる。身体は熱くて仕方がないのに、心だけがどんどん冷めていくような……。心だけが置いてきぼりをくらったような不思議な感覚。なんだろう、この気持ち。 「大丈夫、だから……止め、んな……っこんなとこで止めたら……ヘタレって呼ぶからなっ」 「……たく、なんだよ、まだ余裕あるじゃないか」  コツンと額がくっつき軽くキスが額に落ちたと思ったら、腰を掴まれた。グンと中を割り開かれ更に奥へと熱い塊が突き進む。 「ぅあ……っ、あっ!」  徐々に埋め込まれる感覚に息が詰まる。下半身の感覚が鈍くなってただ、ズクンズクンと脈打つ感覚だけが伝わってくる。  時間を掛けてようやく全てを吞み込んだ時、俺の頭上でアキラがため息を吐いた。吐息だけなのにそれが妙に色っぽく見えて胸が熱くなる。  ああ今、俺の中にアキラがいるんだ――。そう思ったら、嬉しくてなんだか泣けてきてしまった。 「……泣くほど辛いのかよ……」  アキラの顔が苦しそうに歪む。 「ちがっ、……嬉しくて……っずっと、こうしたいって、思ってたから」 「――っ、お前、マジで……っ」 「――ひ、ぁあ……!」  貪るような激しいキスと共に激しく腰を打ち付けられた。仰け反る身体を押さえ込まれ深く突き上げられて悲鳴にも似た嬌声が洩れる。 「ちょ、待ってそんないきなり……っ」 「悪いがもう待てない」 「そんな……っ、あっ! っぅんっ……ひ、あぁっ」  さっき、指で弄られたところを探り当て、ピンポイントで突きあげられると目の前に星がチカチカと瞬いた。  さっきまで痛いだけだったのに、全身がぞわぞわするような強烈な快感が襲ってきて訳が分からなくなりそうでアキラの腕に縋り付き止めてほしいと訴えた。  けど、それが聞き入れられることは無く、一点に絞って激しく突いてくる。 「そこ、や……っ、無理っこんなの、おかしくなる……っ」 「おかしくなれよ……全部受け止めてやるから」 「ぁあっ!」  濡れた性器にアキラの指が絡んだ。中を擦るのと同じリズムで扱かれる。  前と後ろを同時に責め立てられる強烈な感覚に本当に訳が分からなくなった。素面の時には絶対に言わないような言葉が勝手に口から零れ落ちる。 「く、ハル……っ」 「あっ、あ……ぁあっ!」  アキラの艶のある低い声で名前を呼ばれたのが引き金だった。堪らず俺は白濁を手の中に吐き出してしまう。ほぼ同時に身体の奥に熱い迸りを感じた。  ――あぁ、なんだ、そっか。  違和感の原因が、なんとなくわかった気がする。 「――はぁ」  色っぽい溜息を吐きながら、俺の上に覆いかぶさって体重を掛けてくるアキラが愛しく思えて、そっと腕を回した。 「俺、ハルでいいよ」 「えっ?」  行為後の余韻に浸りながら思ったままを口にしてアキラの額に張り付いた前髪をそっと指で掬ってやると、ぎょっとしたような表情でアキラが俺を見る。  あれ? 俺何か変な事いったかな? 「アキラに苗字で呼ばれると変な感じがするんだ……。俺が俺じゃないみたいな。だから、いままでどおりハルって呼んでくれよ」  ゴクッとアキラが息を呑む。大丈夫、もう身代わりじゃないってわかったから。俺の事、ちゃんと愛してくれてるって今なら確かに感じられる。 「……は、たく……今、この状態で言うのか。それを」 「えっ、……あれ? ぁ……っ」  静まったはずの場所を、中からじわりと広げられる感覚に、ぎょっとした。嘘だろ? アキラのがまた大きくなってる。少しずつ中で存在感を増すソレを感じて堪らず下腹部に力が入った。 「たく……さっきのじゃ足りないなんて、とんでもないエロガキだな。ハルは」 「やっ、ちがっ……違くて……っ」 「違わないだろ。んな可愛い事言って」  これは延長決定だな。なんて言いながら身体をひっくり返され腰を高く持ち上げられる。 「ちょ、無理っ、も……、無理だってばぁ……ッ」  静かな部屋に俺の絶叫が響きわたった――。

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