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第3話/指輪。②
それが間違いだったと気が付いたのは、豪華なディナーに誘われ、食事をした後のことだった。
直人は見晴らしの良い五十階建ての高級ホテルの一室に郁己を連れ出した。
建ち並ぶ家々は豆粒のように小さい。
外はすっかり暗くなっていて、住宅街の明かりが煌びやかな宝石のように輝いていた。
「綺麗……」
百万ドルの夜景。
まさにそう呼ぶに相応しい。
郁己はほうっとため息をつき、ただただ目の前にあるその光景に魅了されていた。
その時だ。
ふいに直人は郁己の隣で跪いた。
何事かと思い、彼と向き合えば――直人は懐から小さな小箱を取り出した。
彼は郁己に捧げるようにして小箱の中を開ける。するとそこにはけっして大きいとは言えないが、今夜眺めているこの夜景に劣らない輝きをした美しいダイヤモンドリングが堂々と存在していた。
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